ワラウクルミ

カブトガニの青い血が私たちの命を支えている一方で生態系への懸念も

カブトガニの青い血液

2億年以上も前から、その形を変えることなく現在まで生き続けている「カブトガニ」。『生きる化石』とも呼ばれているこのカブトガニは、我々人類にとって欠かせない存在となっていると言われています。

そのカブトガニから採取されるあるものが、人間の医療現場で大いに貢献しているというのです。

それが、カブトガニの「青い血液」です。

thumbnail photo by Hakaimagazine

薬品の細菌検査に欠かせない青い血液

カブトガニの青い血液は、細菌汚染試験に利用されており、私たちの医療現場で多くの命を救い続けています。

カブトガニの血液には、珍しい特徴が2点あります。

1つ目は、カブトガニが体内に酸素を循環させるうえで、ヘモグロビンに含まれる「鉄」の代わりに「」を利用しており、そのため血液が青色をしているのです。

カブトガニの青い血photo by Hakaimagazine

他の生物にも、タコやイカ、ダンゴムシ、タランチュラ、サソリ、カタツムリなども青い血液を流します。青い血液は、エイリアンだけの特権ではなかったようですねf^_^;)

そして2つ目に、カブトガニの血液に屢組まれる「凝固たんぱく質」は、「細菌内毒素」と反応するという特徴を持っています。何かの汚染があった場合、その汚染物質をゲル状に凝固させて閉じ込めるというのです。

その感度は非常に高く、ppt(1兆分の1)レベルの汚染に対しても反応するとされています。

このことから、カブトガニの青い血液は、注射可能な治療薬やワクチンなどをヒトに使用しても安全かどうかを確実にする「LAL試験」に利用されているのです。

細菌内毒素は、毒素ショックや命にかかわるような発熱を引き起こすため、「米食品医薬品局」が薬品の最終汚染検査を行うことを義務付けています。

高額取り引きされている青い血液

カブトガニphoto by Hakaimagazine

このカブトガニの血液を採取するために、毎年アメリカの東海岸では50万匹もの生きたカブトガニが捕獲されています。

捕獲されたカブトガニは、アメリカ国内にある5つの企業の血液採取工場に輸送されます。そして、彼らは洗浄され、表面についたフジツボや貝などを取り除かれ、消毒されたあと採取装置に納められ、30%程度の青い血液が抜かれます。

カブトガニの青い血photo by Hakaimagazine

1度血液を抜かれたカブトガニたちは、何度も捕まることがないように確保された場所から遠く離れた海に帰されます。これらの行程は、だいたい数日程度のようです。

それでも、20〜30%のカブトガニはこの行程の中で死んでしまいます。研究によれば、特にメスのカブトガニへの負担が高いらしく、血液を採取されたあとは、産卵場所へ移動する頻度が減り、繁殖数に影響が出ることも明らかになっているようです。

カブトガニの青い血photo by PBS

ちなみにLAL試験に利用されるカブトガニの血液の価格は、1リットルあたり約170万円で、この業界全体では年間58億円ものお金が動いています。

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乱獲による生態系への悪影響

1970年にカブトガニの血液を使ったLAL試験を「米食品医薬品局」が認可するまでは、細菌感染試験に「ウサギ」が利用されていました。当然、その試験のために大量のウサギが必要だったことはもちろんのこと、細菌汚染の証拠となるウサギの熱反応が現れるまでには48時間もの時間がかかっていました。

しかし、LAL試験ならたったの45分で結果が分かるため、非常に効率的になったのです。

ところが、このためのカブトガニの乱獲が原因で、その個体数が急速に減少しています。このことを受けニュージャージー州では、10年前からカブトガニの捕獲制限に関する条例を施行したものの、付近の州では相変わらず釣り餌などに利用され続けたため、現在、個体数の回復には至っていません。

カブトガニphoto by Hakaimagazine

1990年代初頭のカブトガニの卵の密度は、1㎡当たり8万個だったのですが、現在では8000個にまで激減してしまっています。

カブトガニphoto by Hakaimagazine

加えて、カブトガニの減少は生態系にまで悪影響を及ぼしており、特にデラウェア湾頭のカブトガニの卵をついばむ「コオバシギ」という鳥の個体数は約75%も減少し、現在も減り続けています。

コオバシギphoto by Ron Knight

夏季が近づくとコオバシギは、南アメリカから1万6000㎞離れた北極の繁殖地を目指すのですが、そのエネルギー補給としてカブトガニの卵を食べるのです。

コオバシギ以外にも、カブトガニの卵を頼りにする渡り鳥が数種存在し、これからの生態系への悪影響が懸念されています。

青い血液の代わりの合成化合物の使用開始

そんな中、アメリカの大手製薬会社「イーライリリー・アンド・カンパニー」社は、カブトガニの代わりに、合成化合物の使用を開始したことを発表。

同社は現在、工場2ヶ所にある研究所内で水を検査するために、カブトガニの血液の代わりに、「組み換え型ファクターC(recombinant Factor C/rFC)」を使用しているとのことです。

この組み換え型ファクターCは、2003年から流通していたものの、現在に至るまで普及していませんでした。15年間もの間、代替品があるにもかかわらずカブトガニは血液を採取され続けていたのです。

ようやくカブトガニたちにも救いの手が差し伸べられ始めて来たのですが、まだまだ合成化学物のシェアは微々たるものであり、これからもカブトガニたちは血液を搾取され続けなければなりません。

いつの日か、カブトガニたちから無理矢理に血を奪うことがなくなる日が来るといいですね。

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