家の梁や橋の材料には、普通木や鉄筋などを用いるのが一般的ですが、貧しい国ではどうやらそういうわけにはいかないようです。
アフガニスタンのケゼラバードでは、家の梁や橋などの材料として旧ソ連がアフガニスタン紛争の時に残していった不発ミサイルを使っているというのだ。
今回はそのBBCの動画と、住民たちがそのような状況下に置かれることになった『アフガニスタン紛争』について簡単に分かりやすく解説していきます◎
不発ミサイルで建てられた村
まずはBBCが取材したこちらの動画からご覧下さい。↓
はっきり言って、こういうシリアスな内容の動画を作成するときのBBCの編集にはいつも嫌な気持ちにさせられます。
なぜなら、彼らはそれが真剣な話題にもかかわらず、バックの音楽にはおちゃらけたものを流し、あたかも動画の内容がちょっと間抜けたような印象を与えるからです。
正直、これはやめて欲しい。
これは紛れもなく真剣な話題です。
不発ミサイルで建てた家で人々が暮らしてるんですよ?不発弾で作られた橋を子供たちが渡るんですよ?あり得ないですよ、どう考えたって(-_-;)
ふざけた音楽を流すことでより人々がとっつきやすく関心を持ちやすいように編集しているのかもしれませんが、間違った先入観を持たせかねないので本当にやめて欲しいですね。
と、ちょっと個人的なうっぷんが出てしまいましたが、ここでこのアフガニスタンの村の人々がこのような現状にさらされることになった『アフガニスタン紛争』について、簡単にわかりやすく解説していこうと思います。
アフガニスタン紛争とは?
photo by wikipedia
1978年に、アフガニスタンでは共産主義政党である『アフガニスタン人民民主党』による政権が成立したのですが、これに対向する武装勢力『ムジャーヒディーン』の蜂起が春頃から始まります。
そこには民族構成や宗教的・政治的な立場が複雑に絡み合っていました。
そして、アフガニスタンのほぼ全土がこのムジャーヒディーンの支配下に落ちてしまったため、アフガニスタン人民民主党はソビエト連邦に軍事介入を要請。
ソ連軍は1979年12月24日に軍事介入。武装勢力ムジャーヒディーン側には、アメリカやイギリス、中国などつき、武器や装備を提供。
アメリカ×ソ連の代理戦争と化したのです。
そして、1989年にソ連はアフガニスタンから完全撤退。1992年には、反政府ゲリラ勢力が政権を取ったのですが、その後もゲリラ各派の主導権争いが続き、1996年以降がイスラム原理主義勢力『タリバン』が台頭します。
そして、2001年9月11日に『アメリカ同時多発テロ』が発生。
photo by youtube
約3,000人もの罪なき人々が亡くなってしまいます。
その後、テロの首謀グループ『アルカイダ』、並びにそのリーダー『ウサーマ・ビン=ラーディン』をかくまったとしてアメリカ、イギリス、ドイツなどの連合軍から攻撃を受け崩壊。
photo by INDEPENDENT
2001年12月22日には、タリバン政権打倒のためにアメリカに協力したハーミド・カルザイ大統領の暫定政権が発足します。
2019年現在でも、アフガニスタンの治安は安定しておらず、アフガニスタン紛争は未だ終わりを迎えておりません。
photo by wikipedia
この紛争により、約100万人ものアフガニスタン人が亡くなっており、パキスタンやイランなどの近隣諸国に逃れた難民は300万人にものぼると言われています。
そして、アメリカの対テロ戦争の動きはさらに、イラン、イラク、北朝鮮の3カ国を『悪の枢軸国』であるとするブッシュ米大統領の発言に発展し、2003年3月にはイラク戦争へと繋がっていってしまうのです。
そういった歴史があり、今の現状に至るアフガニスタンの人々ですが、貧しい生活の中、建築用木材が手に入らず、苦肉の策として不発ミサイルを家の梁や橋桁に使うようになったのでしょう。
アフガニスタン紛争でも話したように、BBC NEWSの運営国であるイギリスはこの紛争に関係しています。
もちろん取材するのは素晴らしいことですが、その現状をちゃんと伝えるためにも動画編集はもう少し考慮するべきだと思います。
・・・・・・何度も言ってすいません(笑)でも、ホント、ちょっと音楽とか字幕の内容を変えるだけで見ている人たちの受け取り方はかなり変わります。
頼むぜ、BBCさん!
宗教や民族、政治などの複雑な問題が絡み合うアフガニスタン紛争。私が生きている間に終結を見たいものです。