あなたは『アルビノ』についてどれほど知っているでしょうか?
肌がやけに白い人たちと思っているだけではありませんか?私自身、恥ずかしながらそのくらいの知識しかなかったのです。
というわけで、今回はアルビノについて分かりやすくまとめ、さらにタンザニアで相次ぐ『アルビノ狩り』についても話していきます。
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『アルビノ』とは?
『アルビノ(albino)』は、生まれつきメラニン色素を生成する遺伝情報が欠落し、目の虹彩、体毛、皮膚などの色が白化してしまう先天性の遺伝性疾患です。
『先天性白皮症(はくひしょう)』、または『先天性色素欠乏症』とも呼ばれるこの疾患は、染色体劣性遺伝という形式で子孫に遺伝します。
人は両親から1つずつ、合計で2つの遺伝子をもらいますが、染色体劣性遺伝の症状は、もらった遺伝子の両方に異常があった場合のみ発現します。
要するに、たとえ両親がアルビノでなくても子供がアルビノになる、という現象が起こり得るのです。
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日光に含まれる紫外線は、皮膚細胞の遺伝子を傷つけ、皮膚がんを引き起こします。
人間の皮膚の表皮と真皮の間には、『メラノサイト』という細胞があり、紫外線や様々なホルモンに反応して『メラニン』という黒い色素を作ります。このメラニンが、外からの紫外線を防ぐ役目を持っているのです。
しかし、アルビノの人たちはメラニンが極端に少ないので、紫外線によるダメージが大きく、日光が当たると激しい日焼けを起こしてしまいます。
なので、アルビノの人たちは、なるべく紫外線の強い時間帯での外出を避けなくてはならず、曇り空でも肌の露出を少なくする、もしくは日焼け止めクリームを使う必要があるのです。
これだけ気をつけていても、皮膚がんのリスクはどうしても高くなりますので、定期的に皮膚科を受診して、皮膚がん検診を受けておく必要があります。
加えてアルビノがある人たちは、視力が眼鏡をかけても0.1以下のような『弱視』になることが多く、目の位置がずれる『斜視』だったり、眼が小刻みに震える『眼振(がんしん)』もなりやすかったりします。
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ちなみに、マイケル・ジャクソンさんがかかっていたのは、『尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)』という疾患で、こちらは生まれつきの病気ではなく、大人や高齢者になってから皮膚の色が白くなってくる後天性の皮膚病です。
アルビノの割合は、2万人に1人程度とされています。
アルビノの著名人
自身の肌色を気にすることなく、武器として自分をアピールし活躍している人たちを数名ご紹介しましょう!
粕谷幸司
自称『アルビノ・エンターテイナー』として活躍中の粕谷幸司(かすやこうじ)さん。彼が目指すのは、マツコ・デラックスのような自然体の面白さ!
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ナスチャ・クマロヴァ
ロシア人モデルとして活躍中の彼女は、透き通るような美しい肌から別名『エルフの女王』とも呼ばれています。
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ショーン・ロス
アフリカ系のファッションモデルとして多方面で活躍する彼は、ビヨンセやケイティ・ペリーのPVにも出演しています。
photo by アシタノワダイ
アルビノとメラニズムの動物たち
アルビノは、もちろん人だけではなく動物たちにも起こります!
アルビノのライオン。

アルビノのカンガルー。

アルビノのワニ。

アルビノの牛。

アルビノの虎。

そして、アルビノとは逆にメラニン色素が多くなる症状を『メラニズム(逆アルビノ)』と言います。
メラニズムのライオン。
photo by アシタノワダイ
メラニズムの鶏。
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メラニズムのキツネ。
photo by アシタノワダイ
メラニズムの馬。
photo by アシタノワダイ
タンザニアでの凶行『アルビノ狩り』
世界中にいる約2万人のアルビノ人口の多くが、アフリカ南東部(サブサハラ)に集中しています。
中でもタンザニアでは国民の1400人に1人がアルビノと言われており、タンザニア周辺がアルビノの発祥の地ではないかとされています。
しかし、タンザニアにおいては、国際社会からの批判が相次ぐ今でもなお、アルビノの人たちを狙った残虐な殺人が後をたちません。いわゆる『アルビノ狩り』です。
photo by 国連広報センター (UNIC Tokyo)
タンザニアでは、アルビノの誕生は悪運をもたらすと信じられている一方で、『ムチャウイ』と呼ばれる呪術師によってアルビノの身体の一部を煮出したものは、幸運と繁栄を運ぶ秘薬として使用する風習があるそうです。
襲撃の際に泣き叫ぶ声が大きければ大きいほど、切断部位に宿る力は強力になるとも言われています。
西洋諸国から遠く離れたタンザニア。医療の発達していない時代に、特別な力があると信じられてきたムチャウイは、頼るべき全能なる医者だったのです。
アルビノの人たちから作られたその秘薬は、様々な効能があるとされ、身体的な問題を治すだけでなく、鉱脈を見つけたい者は地面にその秘薬をまき、また漁師は大漁を祈ってカヌーに秘薬を塗ります。
さらに、アルビノの人たちの髪を編みこんだネットを使うと魚がよく採れるといった言い伝えや、アルビノの脚を持って鉱山に入れば金を掘り当てられるなど、まさに、幸福を呼ぶ万能薬・・・・・・私が漁師だった頃は、大漁を祈願して日本酒を海に撒くことはありましたが、それとは別次元の話ですね(-_-;)
これらのことから、アルビノの人たちの体のパーツが呪術目的で高額売買されたり、性行為をすることによってエイズが治るといった迷信からレイプ事件も多発しており、現在でも多くのアルビノの人たちが危険にさらされています。
そのためタンザニアでは、アルビノの子どもが産まれた場合、差別や虐殺を免れるために親が故意に殺してしまうこともあるそうです・・・・・・なんてことだ(-_-;)
photo by 国連広報センター (UNIC Tokyo)
2011年には、11歳のアルビノの少女が、友達と川へ遊びにいく途中にアルビノハンターに捕まってしまい、背中を撃ち抜かれた後、頭部を切断され、舌や性器をくりぬかれるという残忍な事件が・・・・・・
2017年9月には、アフリカ南東部モザンビークで、アルビノの17歳の少年が殺害されあと、腕や脚から骨を抜き取られ、髪の毛を奪ったうえ、頭を割って脳を取り出されるという事件もありました。・・・・・・残酷すぎる(=_=)
赤十字の報告書やタンザニア警察の推察では、鼻と舌、四肢および性器などが含まれた状態のアルビノの体は、約7万5000ドル(約670万円)で取引されていると言われています。
タンザニア人の平均年収が30万円前後であることを考えると、相当な金額であることが分かります。
このため、アルビノの人たちは、肉親に売られてしまうケースもあるのです。本当に、この世の話とは思えませんね・・・・・・ここまで行くと『人権』という言葉はもはや存在しません。
ユニセフなどの活動で、アルビノの人たちの保護施設が設置してはいますが根本的な解決には繋がっていません。
いかがでしたでしょうか?この記事で、少しでもアルビノについて理解を深めて頂けたら幸いです。