ワラウクルミ

年老いて瘦せこけたオスライオンが孤独にこの世の最後を迎える時

痩せ細ったライオン

生きているものは、どのような形であれ「いつかは死ぬ」。しかし、人間も動物も不慮の事故や病気もなく、静かな最後を迎えることが出来れば本望だ。

フォトジャーナリストのラリー・パンネルは、南アフリカで一匹のオスライオンの最後の姿を納めている。

ぎりぎりまでやせ衰えた老ライオンは、木陰で、孤独にこの世を去って行く。

thumbnail photo by Larry Pannell

限界まで痩せ細った老ライオン

パンネルは、知人と共に南アフリカ東部に広がるクルーガー国立公園で動物たちを撮影していた。豊かな大自然と、のびのびと生きる野性動物たち。

そんな時、パンネルは、水場にうずくまる一匹の大きなオスライオンに目が止まった。かなり遠くからだったためよく分からなかったのだが、そのオスライオンの動きに違和感があったのだ。

すかさず望遠レンズを手に取り、そのライオンを確認すると、後ろ足を異様な形に曲げて水を飲んでいた。

痩せ細ったライオンphoto by Larry Pannell

水を飲み終えたライオンは、辛そうによろよろと立ち上がる。その姿を見たパンネルは、思わず息を呑んだ。

そのオスライオンは、ずいぶん年老いており、骨と皮だけしかなかったのだ。

よろよろと歩くのもやっとという感じで、一歩ずつ水場から遠ざろうとするものの、ライオンは少し離れただけですぐ地面にへたり込んでしまった。老ライオンに最後の時がやって来るのは、さほど遠くないようだった。

痩せ細ったライオンphoto by Larry Pannell

威嚇する気力さえ失っていた

すると象の群れが水場にやって来て喉を潤し始めた。

象の群れphoto by Larry Pannell

そのうち体の大きな1頭の象が水場の周りを歩き始め、草むらに横たわるライオンを発見。驚いた象は、足を踏みならし、耳をばたつかせて仲間に危険を知らせるように大きな鳴き声を上げた。

象に威嚇されるライオンphoto by Larry Pannell

しかし、命の終わりが近づいているライオンは咆哮することもできず、象に背を向けてよろよろと走り去った。

象に追われるライオンphoto by Larry Pannell

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孤独に息を引き取る百獣の王

パンネルと知人は、どうしてもその老ライオンのことが気になり、木陰にへたり込んでいる彼に、2メートルほどの距離まで近づいていった。

2人は、持っていたカメラを下に降ろした。

たった1頭で寂しくその寿命を終えようとしているライオンを置き去りにするのが忍びなくなった2人は、彼をできる限り最後まで見守ってやろうと決めた。

痩せ細ったライオンphoto by Larry Pannell

老ライオンの苦しそうな呼吸も徐々に弱まり、そして、止まった・・・・・・骨の浮き出たあばら骨も動かなくなった。

見開かれた目は、ゆっくりと半分閉じられ、視点を失っていった。

老ライオンの死photo by Larry Pannell

老ライオンから学べること

フォトジャーナリストのパンネルは、これまで自然災害ですべてを失くした人や負傷した人、死にゆく人々などあらゆるものを撮影してきた。

それは当然、悲しみを伴うものばかりだったが、この時は違った。

パンネルは、孤高で威厳あるライオンが死に至った時、『悲しい』という感情よりも、「その貴重な体験に立ち会えたことで『生きる強さ』を教わった」と語った。

その後、地元民からこのライオンは『スカイベッド・スカー』という名前であり、長年に渡りそのあたりの場所を治めていたそうだ。彼は、いつ命を落としてもおかしくない厳しく残酷な野性の大地でたくましく生き抜いた。

 

ネコ科の動物は、ひっそりとした場所で孤独に死ぬということはみなさんもご存じでしょうが、ライオンのこうした姿を見たのは初めてでした。

野性ライオンの寿命は、10〜14年と非常に短いです。しかし、その短い一生の間に多くの危険があったことでしょう。それを、乗り越え続け、最後に静かにこの世をされたことは、彼にとっていい終わり方だったはず。

我々も彼から学べることがあるかもしれませんね。

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