ワラウクルミ

チンパンジーに顔と両手をむしり取られてしまったチャーラ・ナッシュ

2009年2月16日、コネチカット州でサンドラ・ハロルドが飼っていたオスのチンパンジー『トラビス』が脱走し、それを手伝うために呼ばれてたサンドラの会社の従業員、チャーラ・ナッシュがそのチンパンジーに襲われ、顔面のほとんどと両手の指すべてをむしり取られてしまうという事件が発生。

顔を失ったチャーラは、その後顔面の移植手術を受け新しい顔を手に入れ、現在もリハビリを続けながら静かな生活を送っている。

今回はどうしてこのような惨事が起きてしまったのかを詳しく紐解いていく。

thumbnail photo by Boston Herald

地元では有名だったチンパンジーのトラビス

photo by CBS

1998年、コネチカット州に住んでいたサンドラ・ハロルドと夫のジェロームは、『ミズーリー・チンパンジー・サンクチュアリー』という施設からオスのチンパンジー・トラビス(当時3歳)をもらい受け、大切に育て始めた。

ハロルド夫妻は、レッカー会社『トウ・トラック・カンパニー』を経営しており、彼らは、トラビスに地元野球チームのTシャツを着せ、自社のトラックにシートベルトを着用させた上で乗車させて、お得意のポーズをとる姿をよく撮影していたという。

photo by CBS

トラビスは町の人気者で、レッカー作業を行うときに出会う警官に挨拶をすることでよく知られていた。

彼は、若いころからずっと人間と一緒に暮らしてきたので、完全に人間社会に適応していたのだ。

photo by Associated Press

ある近隣住民は、子供のころよくトラビスとレスリングごっこをしたと述べ、トラビスは、いつ遊びをやめて、自分の飼い主に対して細心の注意を向けるべきかについてよくわきまえていたと語っている。

リス氏

リス氏
事件までは、本当に大人しいチンパンジーだったようだな。

人間のように何でも器用に出来たトラビス

トラビスphoto by TODAY

加えてトラビスは、鍵を使ってドアを開けたり、夫妻の飼っている馬にほし草を与えたり、自分で着替えをしたりできたのだそう。

さらに、植木鉢の植物に水を差し、家族と一緒にテーブルで食事をし、ステムグラスでワインを飲むことだってできたという。

ワラウクルミ

ワラウクルミ
チンパンジーがお酒を飲んでるなんて想像できないよねf^_^;)

さらに彼は、テレビで野球を観戦するのが好きで、大好物はアイスクリームだった。彼は、アイスクリーム売りのトラックがやってくるスケジュールさえも理解していたのだそう。

そこまで行くと、もうほとんど人間!

加えて、画像を探すためにコンピューターにログインすることも、リモコンを使ってテレビを見ることも、ウォーターピック(水の勢いで歯を掃除する機械)を使って歯を磨くこともできた

その上、トラビスは車を運転したことも複数回あったのだそう・・・・・・。

リス氏

リス氏
まさか公道ではなかったよな?(-_-;)

トラビスphoto by CBS

その賢さからトラビスは、『コカ・コーラ』などのテレビコマーシャルにも出演したこともある。

しかし、2004年にサンドラは、夫婦の唯一の子供を交通事故で失い、続けて夫のジェロームをガンで失ってしまう。

それ以降、サンドラは、トラビスをほとんど一人息子のように可愛がり始めた。彼女は、外出するときは必ずトラビスとキスを交わし、トラビスと一緒に入浴し、同じベットで抱き合って寝るようになった。

photo by Associated Press

トラビスもサンドラのことが大好きで、毎晩彼女の髪の毛にブラシをかけていたのだそう。多くの大切なものを失ったサンドラにとって、トラビスだけが唯一の心の拠り所だったのだろう。

それを考えると、後に起こる悲劇が色んな意味で彼女を苦しめることになる。

事件時、トラビスは向精神薬を摂取していた

photo by CBS

2009年2月16日・・・・・・その事件は起こってしまう。。

その日、サンドラ(当時70歳)は、トラビス(当時14歳)が檻から脱走してしまったことに気がついた。トラビスは、サンドラの車のキーを持ち出しており、サンドラは、トラビスが車を乗ってしまわないかと慌てふためいた。

トラビスを連れ戻すのを手伝ってもらうために、サンドラは、旧友で自分の会社の従業員であるチャーラ・ナッシュ(当時55歳)を自宅に呼んだ。
(事故前のチャーラ・ナッシュ↓)

チャーラ・ナッシュphoto by CBS

サンドラの自宅に到着したチャーラは、トラビスのお気に入りのおもちゃの1つを手に取り、庭にいたトラビスにそれを見せて気を引こうとした。

しかし・・・・・・、それを見たトラビスは、間髪入れずチャーラに飛びかかったのだ!

トラビスは、チャーラがサンドラの友達であることをよく知っていたはずだが、その日、チャーラはいつもと違う髪型をしていた。

まさか、たったそれだけの違いがチャーラに人生最悪の悲劇をもたらそうとは・・・・・・。

photo by Associated Press

さらに、その日、トラビスは持病の『ライム病』のために、向精神薬『ザナックス』(アルプラゾラムの商標名)のティーバッグのお茶をサンドラから与えられていた。

『ザナックス』は脱抑制、失見当、そして場合によっては攻撃性の増幅、憂鬱、幻覚などの奇異反応を引き起こす可能性のある即効性の抗不安剤。ホイットニー・ヒューストンの死因となった薬としても有名。

この2つの要因により、トラビスはチャーラを激しい怒りと共に襲ったのだ。

チンパンジーの握力は約300kg

チンパンジーは、攻撃時相手に噛み付き、両手両足を使って、平均300kgというとてつもない握力でもって相手の凸凹の部分を執拗に傷つける習性がある。

14歳のオスで、90kgもの体重を誇るトラビスの怒りの攻撃に為す術もないチャーラは、彼に顔をもみくちゃにされていく。

サンドラは、トラビスの凶行を止めさせるために、彼をシャベルで殴り、肉切り包丁で彼を刺して止めようとした。

シャベルphoto by Associated Press

サンドラは、事件後の取材にこう語っている。

「私にとってトラビスをナイフで刺すことは、自分自身を刺すことと同じでした。トラビスは、『ママ、なんで僕にそんなことをするの?』と悲しい目で責めるように私を見たわ」

(事故後、記者の前で語るサンドラ・ハロルド↓)

サンドラphoto by Associated Press

そして、事態を手に負えなくなったサンドラは911に電話をし、救助を求めた。

警察のナビゲーターは当初、チンパンジーが人間を襲っているという内容をイタズラ電話だと思ったのだが、サンドラが突然「彼が・・・・・・彼女の顔を食べ始めたわ!!!」という叫び声を聞いて、ナビゲーターはすぐに警察と緊急医療班の出動を手配した。

photo by Associated Press

パトカーが到着したときトラビスは、じりじりと車に歩み寄り、ロックのかかった補助席のドアを開けようとし、激しくサイドミラーを強打し始めた。

そして、そのドアが開かないと分かると、今度はゆっくりと運転席側のドアの側に回り、ドアを開けようとした。

これを見て、警察官のフランク・キアウェリィ巡査は、トラビスを危険と判断し、やむなく彼に拳銃を向けて数発の弾丸を発射。深手を負ったトラビスは、いったん家に引き返したが、のちに自分の檻の側で息絶えているのが発見された。

ちなみにトラビスの母親チンパンジー・スージーも、2001年にトラビスが生まれた施設を脱走したのちに射殺されており、奇しくも母親と息子は同じ運命をたどってしまったのだった。。。

2ページ目へ続く↓

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