我々人類は、道具を使うことによってより新しい段階へと進化し続けてきました。しかし、ある1人の若者が「道具」の有用性を今一度確かめるべく、道具を使わずに「スツール(背もたれのない1人掛けの椅子)」を作ることに挑戦したのです。
一見、あまりにも馬鹿げたような企画ですが、その行方はいかに???
thumbnail photo by Nikolas Bentel
もくじ
スツール1つのために多くの道具や機械が使われている
ニューヨークに在住のアーティスト兼デザイナーのニコラス・ベンテルさん(Nikolas Bentel)(24歳)は、自身の2番目の企画として自分の体のバーツだけを道具として使用してをスツールを作ることにしました。
機械を使って作られたスツールを分解してみると、
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以下のように多くの細かな木材のパーツと、金属によって作られています。
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それらの木は、まずはチェンソーなどで切り倒され、
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トラックに乗せられて運ばれます。
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適度な大きさに裁断された木材は、
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スツールのために機械で形を整えられます。
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そうなったものは、船や
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飛行機や
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列車によって目的地に運ばれていきます。スツール一つが、手元に来るまでには多くの「文明の利器」が使われているのです。
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そのお陰で私たちは、非常に豊かな生活を送ることが出来ています。しかし、日々の生活の中でそれらの有用性を意識することなど、まずありません。
そこでニコラスさんは、道具というものが我々にとってどれほど重要なものかを改めて考えるために、自分の体だけを使ってスツールを作ってみることにしました。
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人間の力だけで木を倒すという難行
まずは材料の入手から。
森の中から人間の力で倒せそうな木を物色。いい感じの木を見つけたようです。
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まずは、手で前へ後へ押してみます。まぁ、そんなことで木は倒れませんね。
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少し離れた木によじ登って、少し上の地点から蹴ってみますが、なかなか思うようにいきません。
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そこで、倒したい側の木に背中を乗せて体重をかけてみることに。
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踏ん張って〜・・・おお!
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やりました!ニコラスさんも、この満面の笑み( ´▽`)
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木は「非常に重く、硬い」ことが分かった
笑顔を見せたのも束の間、今度はその倒した木を製材所まで運ばなくてはなりません。
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木は予想以上に重く、雪に足を取られ思うように進めません。
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5時間かかってやっと製材所に運ぶことが出来ました。重い物を運ぶという単純作業ですが、これが一番人間のエネルギーを奪います。
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材料は手に入れたものの、今度は加工方法です。「人間の体だけ」というルールの中で、ニコラスさんがまず一番初めに思いついたのは「歯でかじること」でした。
試しに市販の木材をかじってみることに。ガリッ・・・
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木は予想以上に硬く、
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歯茎から血が出てしまう事態に・・・・・・まぁ、なんとなく予想は出来ましたがf^_^;)
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お次は「爪」。結構、木にキズが入りはしますが、すぐ爪に痛みが出始めることは明らかです(-_-;)
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ニコラスさん自身が道具となる時
素人だけの考えでは、到底スツールなど作れないので、今回は木工職人であるニコラスさんの父親のポールさんに協力してもらうことに。
最初は、息子のある意味「無謀」とも思える企画に笑みをこぼしていたポールさんでしたが、息子の真剣さにちゃんと協力することを決意。
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まずは、「体だけを使って」という制約のもとで作成可能なスツールの設計図を作りました。ネジなどを使わないシンプルな構造のものです。
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そして、木をかじり始めます。比較的柔らかい木を選んだことでかじることは可能になったものの、やはり歯への負担は相当なものです。
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ニコラスさんを道具として利用するポールさん。やはり木工職人。たとえ道具が人間になったとしても、手つきが非常に手慣れています。若干笑っているように見えるのは、気にしないでおきましょう。
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次は爪を使っていきます。ポールさんの手にかかれば、人間の爪さえ美しく使い込まれた道具のように見えてくるのは私だけでしょうか?・・・・・・たぶん、私だけですね(笑)
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2日間、同じような作業を続けて、やはりニコラスさんの歯にも相当なダメージが出てきました。歯は欠け、
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爪もぼろぼろに・・・・・・しかし、作業は続きます。
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「ニコラスものさし」を使って長さを測り、
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爪で整形していきます。
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歯でかじっては、かじりかすを吐き出し、
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爪でフォルムを整えていきます。
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3日間の苦労の末、遂に完成!
3日間かかって遂に9つのパーツが完成!いやいやほんと、よくここまでやりましたよねf^_^;)そして、組み立てに入ります。
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ニコラスハンマーを操り、スツールの足をはめ込んでいくポールさん。いつの間にか自分の愛用している道具のような風になりましたね。
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4本の足を手際よくはめ込み、
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ひっくり返して、座面部分からも叩いてしっかり打ち込んでいきます。
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そして、完成!
座ったときのニコラスさんのこの表情を見れば、その出来映えがよく分かりますね!
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一部始終の動画はこちらです◎
一見とんでもないような企画のように思えましたが、実際に自分の身をていしてやってみることで、物事というのはより深く知ることが出来るものです。
きっとこの経験は、ニコラスさんやポールさんにとって非常に貴重なものとなったことでしょう!
しかしながら、「じゃぁ、あなたもやってみたらいい」ともし誰かに言われたとしたら、私はやりませんよ・・・・・・前もって言っておきます(笑)