世界中どの国にもホームレスはいますが、日本のホームレスがほとんどしないようなことを、私が現在住むアメリカではよく見かけます。
それは、『物乞い』です。
今回は、日本のホームレスとアメリカのホームレスの大きな違い『物乞い』についてお話ししていこうと思います。
アメリカのホームレスは物乞いをする

これは別に偏見で言っているわけではなく、事実をお話しします。
日本では、ホームレスたちが通行人に『物乞い』をすることはありませんが、アメリカでは正直言って普通です。
特にアメリカでは、歩行者に施しを求めるよりも、車のドライバーに対して物乞いをしていることがかなり多いです。
よく見かけるのは、スーパーマーケットの出口あたり。
ダンボールに各々のメッセージをマジックで書き込み、ただひたすらそれを胸のところに掲げて立ち尽くしています。
例えば、これからのシーズンは寒くなってくるので
「I’m cold. Please give me some money.」
「I’m freezing. I’m hungry. Please give me some food.」
などなど。ボロボロの服に身を包み、冬でも真っ黒に日焼けし、ドライバーたちに向けてダンボールメッセージを持って立ち尽くしているホームレスたちの姿を見ると、いつも胸が締め付けられます。
日本のホームレスたちのプライド

しかし、アメリカに移住してまもない頃の私は、正直そんな風には思いませんでした。
みなさんもご存知の通り、日本のホームレスたちはまず物乞いはしませんよね。私は、日本に住んでいる間に一度も見たことがありません。
日本のホームレスたちは、どちらかというと「自分たちの食い扶持(ぶち)は自分たちでなんとかする」というプライドが強く、いくら地位が落ちようとも見知らぬ人に金銭や食べ物を求めることを『恥』だと考えているように思います。
私は、アメリカに移住するまでホームレスから施しを求めらたことが一度もなかったので、初めてアメリカでその姿を見た時に、
「そんなことをするくらいなら働いた方がいいじゃない?」
と思い、私のアメリカ人妻にもそんな風に話しました。
ホームレスにはそうなった様々な理由があること

しかし、妻はホームレスたちの物乞いについて、こう話してくれました。
「彼らは様々な理由で働けないの。精神的・身体的、色々な理由があるわ。
そうなってしまうと仕事を見つけるのも難しいし、仕事があっても低賃金すぎてアパートメントを借りることさえできないこともあるの」
「もちろんホームレスの中には、アルコールや薬物の中毒で自分の人生を破滅させてしまった人々も結構いるわ。
だから、お金をあげるんじゃなくて、『食べ物』をあげることがベストね」
彼女のこの言葉で、自分の頭の中に浮かんでいた「働いた方がいいんじゃないか」という言葉が消えて無くなり、ただ「頑張って立ち上がって」という気持ちに変わりました。

しかしながら、私はこれまでに一度もホームレスの人たちに施しを与えたことがありません。お金は与えてはいけない、と妻に言われているので、なかなかその機会を見つけることが難しいのです。
もちろん必ずしもお金が助けにならないわけではないので、それは人それぞれの判断に任せます。
しかし、お金の施しがもしかしたら薬物やアルコールに消えていき、そのホームレスをまた破滅の道へ進ませてしまうかもしれないと考えると、こちら側としても行動しづらくなります。
正しい施しをすることが大切

それでも今度、食べ物を持った時にホームレスを見かけたら、彼らにそれをあげたいと思っています。
私の英語はまだまだ流暢ではありませんが、その機会があれば彼らと少し話して、どのようにしてそのような状況に立たされてしまったのか?毎日をどう過ごしているのか?将来に向けての目標地点はあるか、など聞いてみたいと思います。
幹線道路などで、ホームレスたちのテント群を時々見かけます。
その時に「これほどの人々が、私たちにとって当たり前の生活をできないままでいるのか」と考えると、どれだけ自分が恵まれた状況に置かれているのかがよくわかります。
少しでも多くのホームレスの人たちが、ちゃんとした家に住み、ちゃんとした仕事を持てる日が来るように、正しい施しを私たちもしてく必要があるでしょうね。
5/11/2019 追記↓