ワラウクルミ

ホームレスに食べ物を求められたのでバナナをあげた話(実体験)

ホームレスに食べ物を求められたのでバナナをあげた話(実体験)

今回は久しぶりに私の実体験を書いていこう。

タイトルにもある通り、ホームレスに食べ物をもらえないかと頼まれたので、購入したばかりの食材の中からバナナをあげた話だ。

別にいいことをしたと自慢話をしたいわけでもなく、ただただ事実だけを淡々と書いていこうと思う。

スーパーマーケットに集うホームレスたち

妻の仕事の関係でアメリカ・ワシントン州の田舎に住んでいる私は、その日は妻のシアトルへの出張に付き添っていた。

一週間のホテル暮らし。狭いキッチンで主夫としての務めを果たさなくてはと、まずは車に乗り、食材を買いにスーパーマーケットに行った。

そのスーパーマーケットは高速道路沿いにあり、周りは道路と林しかないような場所にあった。しかし、それでもなぜか、段ボールにメッセージを書いたものを胸に掲げているホームレスたちがいくらかいた。

アメリカに来て気づいたことだが、アメリカのホームレスたちはスーパーマーケットのそばでこれらの物乞いをすることが多いようだ。

日本で見かけないアメリカのホームレスたちの『物乞い』について
世界中どの国にもホームレスはいますが、日本のホームレスがほとんどしないようなことを、私が現在住むアメリカではよく見かけます。 それは、『物...

とにかく目の端に彼らの存在を捉えながら、買い物へと急いだ。夕方まであまり時間がない。晩ご飯の準備を早くしておきたかった。

初めて行った広いスーパーマーケットの中を、1時間かけてぐるぐると迷いながら1週間分の食材を買い終えた。

大量の食材をカートで車まで運び、ラゲッジに荷物を入れ始めたところで一人の男が僕の方へ近づいてきいることに気がついた。その男は30代くらいで体が大きく、足をびっこをひくようにして歩いていた。

正直、僕は「なんか変なことでもされるかな」と身構えた。でも、男は僕のそばまでやってくると次のような言葉をまとめて僕に言った。

「すみませんが、食べ物をいただけませんか?お金ではありません。私は特に酒や変な薬に手を出しているわけじゃないんです。ただただ食べるものに困っているんです」

僕はたぶん三秒間ぐらい戸惑っていたと思う。彼の言った英語を日本語に直し、さらに何があげられるとかを考えていた。予定を立てて食材を購入していたので、彼に今あげるとしたら一つしかなかった。

「ねぇ。じゃあ、バナナとかでもいい?」と僕が彼に言うと、彼は「もちろんです。何でも嬉しいです」と言った。

ホームレスにも他人を思いやる人もいる

そして僕は、買い物袋の中からバナナを一房取り出そうとした。するとその男は、

「それはあなたが必要で買ったものでしょ?私はそれをもらえません」

そう男は言うと、すたすたとその場から去って行った。なんて謙虚な男なんだ、と僕は思った。腹が減ってんだから、もらえるものは素直になんでももらうのが普通だろうに。

僕は、その男の謙虚さにある種の感動を覚えた。例え、ホームレスになり物乞いをし誇りを失ったとしても、他人を思いやる気持ちはしっかりと持っていると言うことに。

僕は一房のバナナ以外の食材をすべてラゲッジに入れ、車の鍵を閉め、歩き去って行った彼の方へ駆け寄って声をかけた。

「やぁ。ただのバナナなんだ。受け取って」と。

彼はもう一度断ろうとしたけど、僕が押しつけるようにするとやっと受け取ってくれた。彼は、「God bless you.(あなたの幸運を祈ります。)」と僕に言い、僕らは握手をして別れた。

僕は彼にバナナしかあげることが出来なかった。彼と一緒にスーパーマーケットの中へ入って、惣菜か何かを買ってあげたかったけれど、暑い車の中で買った食材がだめになってしまうことを考えて諦めた。

 

改めて言うけど、たいしたことはしていない。ただバナナを一房あげただけだ。でも、僕は彼から幸運を祈られた。僕も彼に幸運を祈りたい。

彼のように人を思いやることが出来る人間に、神はきっと天から一振りの幸運くらい与えてくれるはずだ。そうあって欲しい。

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