日本の報道機関では「新型コロナウイルスの8割は軽症、または無症状」という表現を使うことが多々ある。
一般人が『軽症』と聞くと、ちょっとした発熱やせきで全然動ける感じをイメージするだろう。
しかし、医者にとっての軽症の定義は、素人の考えているものとまるで違うことがこの度明らかとなった。
今回は、その差異を分かりやすくまとめていた方のイラストをお借りして、医者と素人との『軽症』の概念の違いについて話していくぞ( ̄^ ̄)ゞ
海外はロックダウンなのに日本は?
世界、特に欧米諸国では新型コロナウイルスの猛威が深刻化している。
ロンドンやニューヨークなどの大都市はロックダウン(ナウい言葉←この言葉は風化語)・封鎖され、ゴーストタウンと化している。
しかし、日本は未だに外出自粛要請に留まる程度。花見に出かける人や飲食店へ行く人など、アメリカに住む筆者にとっては耳を疑うような話ばかりだ。
確かに気持ちはわからないでもないが(;・∀・)
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そんな中、Twitterアカウント・月斎(@gessai)さんのある注意喚起ツイートに注目が集まっている。
それは、日本の各報道機関が使用している新型コロナウイルスに対して使っている『軽症』の概念についてだ。
報道各社は「新型コロナウイルスの8割は軽症・無症状」などと頻繁に報道している。例えばこれ。↓
軽症の定義は?重症との違いは?
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ところで皆さんは、軽症と聞いてどれほどの症状を思い浮かべるだろうか?おそらく少しの熱と咳が出るくらいを想像するのではないだろうか?
しかし、医師たちや報道機関が使用している『軽症の定義』は、私たちが考えているものはかなり違うのだ!
そんな医師と素人との軽症定義のギャップをわかりやすく説明した月斎さんのイラストがこちら!↓
photo by 月斎
ど素人の危機感が無さ過ぎてお医者さんの胃がマッハらしいというツイを見た。軽症の時点で2段階くらいズレてた。すまねえお医者さん。メディアはまず意識の擦り合わせから頼む pic.twitter.com/raZyyVIigH
— 月斎 (@gessai) March 28, 2020
ただし、このイラストを描いた月斎さんは、
「こちらのツイートは、あくまでも庶民の観点から見たイラストであり、正確性については一考の余地があります」
と謙虚な姿勢で話してくれている。
入院しない程度なら『軽症』
しかし、月斎さんの先ほどのイラストもあながち間違ってもいないようだ。
呼吸器外科医で、肺の再生研究を行っているTakaya Suzuki(@suzuki_takaya)さんが、軽症についてこんな風にツイートしてくれている。↓
「8割は軽症」と言いますが、例えばインフルエンザで39度の熱にうなされながら水しか飲めない状況というのは、軽症に入ります。
— Takaya Suzuki MD, PhD (@suzuki_takaya) March 27, 2020
Suzukiさんがツイートでもおっしゃっているように、インフルエンザの場合で39度の熱で水が飲めないくらいなら『軽症』という分類に入るらしい……。
軽症のゾーンが広すぎだろ(;゚Д゚)
2009年の資料だが、厚生労働省と財団法人 救急振興財団が作成した重症度の定義には、このように記載されてあった。
資料には、軽症と重症の中間である中等症も含めたもので分類されている。↓
photo by 厚生労働省 / 財団法人 救急振興財団
「軽症:入院を必要としないもの」というのはかなり範疇が広いことがお分かりいただけると思う。
入院が必要なレベルになれば『中等症』。そして、生命の危険の可能性があれば『重症』となるようだ。
別に軽症ならコロナにかかってもいいと思わないで
とにかく、私が今回言いたかったことは、
「新型コロナウイルスに感染しても軽症で済むんだろ?」として甘く見ないでほしい
ということだ。
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現に日本以外の国では20代、30代の若年層でも重症化した人はたくさんいる。
それに、軽い症状で済むからと言って「別にコロナにかかってもいいや」という考えは決してしないでほしい。
なぜなら、知らず知らず自分が感染してしまい、症状がないまま他の免疫力の弱い者、例えば子供や妊婦、老人たち、そして何らかの他の病気を患っている人たちなどへ移してしまう可能性が大いにあるからだ。
それが『感染拡大』への引き金となる。
確かに今の日本は大した感染者数が出ていない。かといって甘く見ているととんでもないことになるかもしれないことを、改めて念頭においてほしいと思う。
画像提供:月斎(@gessai)