ワラウクルミ

1週間で2回エベレスト登頂に成功した超人『キリアン・ジョルネ』

2017年の5月下旬、世界的に知られているトレイルランナー(舗装路以外の山野を走る)で、アルピニストでもある『キリアン・ジョルネ(Kilian Jornet)』が1週間の間に2回エベレストに登頂するという快挙を成し遂げました。

キリアンは、固定ロープも酸素ボンベも使わずにこの快挙を達成!キリアンのことを知らない方は「なぜそんなことができるの?」と驚くばかりでしょうが、キリアンのことを知っている方なら「彼なら当然の結果」と思うでしょう。

今回は、山を愛し、山に愛されている男『キリアン・ジョルネ』をご紹介いたします。

thumbnail photo by Suunto

キリアン・ジョルネの生い立ち

  • 誕生日 1987年10月27日
  • 出生地 スペイン・カタルーニャ州バルセロナ県の都市サバデイ
  • 身長  171cm
  • 体重  56kg

キリアン・ジョルネの父は、フランスとアンドラの国境にある山間部の避難小屋で監視員を勤めており、キリアンは、幼い頃の多くの時間を標高2000mの山あいで過ごしました。

夏は登山をし、冬は雪山でスキーをするなど、幼いキリアンにとって『山』が一番の遊び場であり、友であり、生活の一部でした。

キリアン・ジョルネphoto by Suunto

キリアンが3歳の時にすでに3,400mの山に登っており、6歳の頃には、4,000mの山頂を登り切り、10歳の時には、42日間かけてフランス・スペイン間にある『ピレネー山脈』を横断しています。若干10歳にして、すでに超人だったんですねf^_^;)

高校入学と同時に、キリアンの山遊びは『競技』に変わり、『山岳スキー』、そして、その延長線上の『トレイルランニング』の世界にのめり込んでいきました。競技を行うようになってからはトレーニング中心の生活を送り、世界を転戦する生活が始まります。

そして2005年、キリアンが17歳の頃ぐらいから、出場するどの大会でも1位か2位を独占し続けます。

下の動画は、キリアンの練習風景・・・・・・いやいやいや、普通の人はそんな場所で走らないし、ジャンプもしない!!!

キリアン・ジョルネの記録

以下は、キリアンのトレイルランニング、スカイランニング大会(山岳や超高層ビルを駆け上がる(駆け下る)スピードを競うスポーツ)の記録です。まさに圧巻!


  • 2005:
    • 1st, and 2nd in the combined ranking at the “Cuita al Sol” race (in Spain)
    • 1st, and course record, Dôme de Neige des Écrins (in France)
    • 2nd, “Cross Vertical”, in Andorra
    • 2nd, Prueba de Copa de España“ race, Buff-Salomon Vallnord
  • 2006:
    • 1st International Championship team race, SkyGames (FSA)
    • 1st, French Championships of Mountainrunning, “junior” class race, FFA
    • 6th, World Championship of Skyrunning
  • 2007:
    • Champion of the year and four times 1st, Skyrunner World Series [35]
    • 1st, Mount Ontake Skyrace (in Japan)
    • 2nd, Orobie Skyrace team race (in Italy) together with Jordi Martin Pascual and Xavier Zapater Bargue
  • 2008:
    • Champion of the year and three times 1st, Skyrunner World Series
    • 1st, Ultra-Trail du Mont-Blanc
  • 2009:
    • Champion, Skyrunner World Series
    • 1st, 23rd Mt. Kinabalu Climbathon (in Borneo – Malaysia)
    • 1st, Ultra Trail Andorra
    • 1st, Ultra-Trail du Mont-Blanc
    • 1st, Sierre-Zinal, Switzerland
  • 2010:
    • 3rd, Western States Endurance Run, California, USA
    • 1st, Sierre-Zinal, Switzerland
    • 1st, Grand Raid de la Réunion
  • 2011:
    • 1st, The North Face 100, Blue Mountains, Australia. Course Record
    • 1st, Western States Endurance Run, California, USA
    • 1st, Ultra-Trail du Mont-Blanc
  • 2012:
    • 1st, 26th Mt. Kinabalu Climbathon in Borneo, Malaysia(2:11:45)
    • 1st, Pikes Peak Marathon, Colorado, USA.
    • 1st, Grand Raid de la Réunion
  • 2013:
    • 1st, Transvulcania, Spain
    • 1st, Zegama-Aizkorri, Spain
    • 1st, Marathon du Mont Blanc, France
    • 1st, Ice Trail Tarantaise, France
    • 1st, Dolomites Vertical Kilometer, Italy
    • 1st, Dolomites SkyRace, Italy
    • 1st, Trans D’Havet, Italy
    • 1st, Matterhorn Ultraks, Switzerland
    • 1st, Limone SkyRace Extreme, Italy
    • Then World Record, Mount Kilimanjaro Ascent and combined Ascent/Descent (5:23:50, 7:14:00)
  • 2014:
    • 2nd, Transvulcania, Spain
    • 1st, Zegama-Aizkorri, Spain
    • 1st, Hardrock Hundred Mile Endurance Run, Colorado, USA. Course Record clockwise
    • 1st, Marathon du Mont Blanc, Skyrunner World Championship, France
    • 1st, Vertical Kilometer race, Skyrunner World Championship, France
    • 1st, Sierre-Zinal, Switzerland
    • 1st, Trofeo Kima, Italy
  • 2015
    • 1st, Mount Marathon Race, Alaska, USA. Then Course Record
    • 1st, Hardrock Hundred Mile Endurance Run, Colorado, USA. Course Record counter-clockwise
    • 1st, Ultra Pirineu, Bagà, Spain. Course Record
    • 1st, Sierre-Zinal, Switzerland
  • 2016
    • 1st, Zegama-Aizkorri, Spain (8th victory)
    • 1st, Hardrock Hundred Mile Endurance Run, Colorado, USA. Tie with Jason Schlarb (USA)
  • 2017
    • 1st, Marathon du Mont Blanc, France
    • 1st, Hardrock Hundred Mile Endurance Run, Colorado, USA
    • 1st, Sierre-Zinal, Switzerland
    • 2nd, Ultra-Trail du Mont-Blanc

参照:wikipedia


ほんと『1st』ばかりが目立ちますね!!!完全に総なめ状態です。

ちなみにキリアンは、山スキー大会にも数多く出場しており、そちらも上の年表と同じような状態ですf^_^;)彼は、まさに「山ために生まれてきた」といっても過言ではないかもしれませんね。

世界の高峰で最速登頂チャレンジ

さらにキリアンは、世界の高峰で最速登頂記録に挑戦するプロジェクト『Summits of My Life』を2012年から開始。それは、最速登頂記録を目指してベースキャンプから山頂まで一気に登っていくというものでした。

それから、キリアンは最速登頂記録を打ち立て続けていきます。

  • 2012年 モンブラン(アルプス山脈、4,810 m)
  • 2013年 マッターホルン(アルプス山脈、4,478m)
  • 2014年 デナリ(アラスカ山脈、6,194m)
  • 2014年 アコンカグア(アンデス山脈、6,962m)
  • 2017年 チョ・オユー(ヒマラヤ山脈、8,188m)

そして、『エベレスト』登頂はこのプロジェクトの最後の締めくくりとして計画されていたものでした。

当初、キリアンはエベレスト遠征を秋に計画していたのですが、登山許可が下りず、前倒しして春の2017年5月に挑戦することにしました。

計画変更も何のその。キリアンは5月22日に見事、38時間でエベレスト登頂に成功したものの、途中で胃腸のトラブルに見舞われ、当初予定していたルートをすべて踏破することができませんでした。

そこでキリアンは、5日後に予定ルートを攻略するべく再挑戦!普通ならそんなこと考えられませんよ!

27日午前2時に標高6,400mにあるベースキャンプから山頂に向けて出発したキリアンは、強風に行く手を阻まれながらも無事登頂し、28時間半かけて再びベースキャンプに戻ってきました。

これでキリアンは、1週間の内に2回エベレストの頂上にたどり着くという偉業を達成したのです。

しかも、ベースキャンプからは単独で、固定ロープ酸素ボンベも使わなかったんです!!!・・・・・・凄すぎて言葉が見つかりません(=_=)


第一回目(2017.5/20-22)の登頂記録
エベレスト・ベースキャンプ (標高5,100m) – エベレスト山頂 (標高8,848m): 26時間 – エベレスト山頂 (標高8,848m)- エベレスト・アドバンスド・ベースキャンプ (標高6,400m): 38時間

第2回目(2017.5/27-28)の登頂記録
エベレスト・アドバンスド・ベースキャンプ (標高6,400m) – エベレスト山頂 (標高8,848m): 17時間 - エベレスト山頂 (標高8,848m) – エベレスト・アドバンスド・ベースキャンプ (標高6,400m): 28時間30分

参照:salomon


恋人のエミリーもトレイルランナー!

実は、キリアンには長年付き合っている『エミリー・フォースバーグ(Emelie Forsberg)』という恋人がいて、彼女も優れたトレイルランナーとして有名なのです!

エミリー・フォースバーグphoto by facebook

キリアン・ジョルネphoto by facebook

いつの日か、スーパーアスリートカップルが誕生するかもしれませんね!

キリアンのトレーニングと回復力

キリアンは、ほぼ毎日、走ったり、山を登ったり、スキーしたりと動き続けています。

しかし、危険な山でのレースは、怪我の連続。それでもできる限り日々のトレーニングを欠かさないようにしています。

キリアン・ジョルネphoto by facebook

キリアン・ジョルネphoto by facebook

2018年には、手術を受けましたが、超人的な回復力で再びトレーニングを再開しています。

キリアン・ジョルネphoto by Kilian jornet burgada

キリアン・ジョルネphoto by Kilian jornet burgada

キリアン・ジョルネphoto by Kilian jornet burgada

キリアンの人生哲学

キリアン・ジョルネの魅力は、アスリートとしての強靭な精神力や競技力だけでなく、彼の人生哲学や人間としての魅力にも優れています。

キリアンは、もちろん勝負に対する強烈なこだわりは持ちつつも、彼の走る目的は『栄光』のためではなく、走ることを愛し、自分を自由に表現する手段として走っているようです。

彼は自伝の中で、「レースは芸術作品のようなもので、レース中やゴールした時に感じる感情や体験は、レースが終わった瞬間に消えてしまう」と語り、今を生きることにこだわりを持っていることが垣間見えます。

さらに、「人間の最終目標は幸せになることで、その幸せは感情を通じて訪れるもの。それは経験から得たものかもしれないし、想像上のものかもしれないし、記憶の中で再現されているものかもしれない」とも語っています。

彼は、走ることを通じて「人間とは何なのか?」、「何のために自分は生きているのか?」という問いを追究し続けているのかもしれません。

名実ともに世界最強のトレイルランナーランナーと言われている『キリアン・ジョルネ』ですが、彼がここまでやってこれたのは、彼が山を愛し、自然を愛し、走ることを楽しみ続けているからです。

そして、それらは私たちにも当てはめることが出来るかもしれません。

「自分の好きなことをとことん追求して、楽しみ続ける」

それが、私たちの人生を豊かにし、幸福にするのだと思います。

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