ワラウクルミ

東京・井の頭公園。私のワラウクルミがまだそこにあったときに

walnut

大都会でのワラウクルミ 。

私がまだ若かったころ、日本の大都会「東京」に住んでいた。田舎者だった私は、あらゆることに興味があり、そのすべてが面白くて仕方がなかった。色々なことを経験し、いくらかの人と出会うことが出来た。

そして、その中である人がある日、長野旅行のお土産としてクルミを三つ、私にくれた。私はそれまでクルミの実というものをこの手で触ったことが一度もなかった。ごつごつして不格好な殻に包まれた木の実。

お土産としては少し変わったものだったが、私としては初めてのクルミの実に当たり前のように感動していた。もちろんその人に礼を言い、三つのクルミの実を手の中で回して遊びながら、その人と旅行の話をしていた。

木々が生い茂る湖のある井の頭公園。陽気な天気の中、カップルはボートを楽しそうに漕ぎ、ジョギングをしたり、楽器を持ってきて自由に演奏し歌う人々。ところどころ木の葉の隙間から太陽の光が差し込み、公園内を照らしていた。完璧な昼下がり。

話がある程度一段落したとき、私はクルミの実を改めて見直した。でこぼこが不規則にあって見れば見るほど面白かった。そんなとき、一つのクルミの一部分が顔のようになっていて、まるで笑っているように見えたのだ。その人にもその部分を見せた。そして、二人して笑い合った。遠い昔の話。

偶然の種類と、遠のいた年月

それはただの偶然だし、おそらく見つけようと思えば他のクルミでも簡単に見つけることができると思う。でも、その時、その場所で、その人と一緒に見つけたのは偶然の種類としてはなかなかいいものだった。大都会では多くの楽しいことや、大変なことがあったが、その中でもこれが一番何気なく頭の中に残り続けていたことだった。

数年後、私は大都会を去り、家業を継ぐために地元に戻った。随分長い間、その三つのクルミは自分の部屋の棚の上に飾っていたのだが、この前、引っ越しのために動かそうとしたら、クルミの殻に隙間が出来ており、そこからクルミの乾燥した粉が出てきていた。そして、触ると静かに割れた。中にはなにも残っていなかった。

すべては年月が消し去ったのだ。残った殻を手にした私は、そのまま大量の不要品のゴミ袋の中に放り込んだ。もうとっくの昔に賞味期限は切れていたんだ。多くの人は知らず知らずのうちに、いらないものを貯め込んでいく。それらの多くはそこから去ることを待っている。未来は自分で作るのだ。当たり前のことだけれど。

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