ワラウクルミ

13年間体も声もなく意識だけの存在となったマーティン・ピストリウスの奇跡

閉じ込め症候群となったマーティン・ピストリウス

もしあなたが自分の体を動かすことが出来ず、声も発することも出来ないまま意識だけが機能し、そのまま『13年』ものあいだ自分の体に閉じ込められていたとしたら?

マーティン・ピストリウスという男性は、「閉じ込め症候群」という脳疾患にかかり、実際にそのような体験をした男性です。

しかし、彼はあることがきっかけでその地獄から抜け出すことができたのです。

それは、小さな、しかし彼にとっては大きなある人との「コミュニケーション」でした。これを読めば、人が日々おろそかになりがちなコミュニケーションを、改めて考え直すきっかけになるかもしれませんよ!

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ある日突然、発病

1976年、南アフリカの大都市であるヨハネスブルグに生まれたマーティン・ピストリウス(Martin Pistorius)。

母親のジョアンはレントゲン技師で、父親のロドニーは機械技師という理系一家に生まれたマーティンは、弟デイビットと妹キムと一緒に何不自由ない暮らしを送っていました。

閉じ込め症候群となったマーティン・ピストリウスphoto by ゴースト・ボーイ

12歳のマーティンは、機械いじりが大好きな少年で、妹や弟に自分の部屋に入られないために、ドアに自作のアラームを着けたりするなど、本当に賢い少年でした。

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しかし、ある日、彼は学校から帰ると突如、激しい喉の痛みに襲われます。

最初は、両親もただの風邪だと思っていたのですが、徐々に食事が食べられなくなり、日中に何時間も眠ったり、歩こうとすると足に激痛が走ったりしました。

さらに、時々人の顔がぼやけて見えたりするなど、奇妙な症状が発症。彼を病院に連れて行き、検査してもらっても原因がまったく分かりませんでした。

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そして、マーティンは思考力や記憶力までも徐々に失っていくのです。

両親は国中の病院を渡り歩き、マーティンにいくつもの検査を受けさせました。さらにイギリスなどの海外の専門家にも見解を求めたのですが、病名や治療法などの明確な回答は得られませんでした。

どの医師も病名を突き止められなかった

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1989年、マーティンが発病してから1年後、「When」「Home」という2つの言葉を発したことを最後に、眼を開いたまま完全に意識を失ってしまいます。

マーティンは、眼球を動かし、まばたきなどはするものの、外部からの刺激にまったく反応しなくなったのです。

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両親は、藁にもすがる思いで、いくつもの専門機関をあたり、マーティンに精密検査を受けさせたのですが、医師は「現段階では、マーティン君は脳に何らかの重大なダメージを負っているとしか言えません」という回答だけでした。

病名や原因など、どの医師も解明できず、さらに医師は、マーティンが意識を取り戻す治療法も可能性もまったくないと両親に断言したのです。

最後通告のようなものを突きつけられて、絶望の淵に立たされた両親。

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医師は、生体反応自体はあるので、しかるべき施設にマーティンを預け、病気は自然の成り行きに任せるしかないと両親に告げます。

母のジョアンは、レントゲン技師の仕事を退職し、マーティンをつきっきりで看病することに決めます。それと同時に、ジョアンの介護によるストレスは、日増しに積もっていきました。

ジョアンの介護もむなしく、マーティンの回復の兆しは一向に見えてきません。

1992年、マーティンの意識が途絶えてから3年が過ぎたある日、彼は突然意識を取り戻します。しかし、相変わらず声を出すことはおろか、体のどの部位も彼の意思で動かすことはまったく出来ませんでした。

この時はまだ分からなかったのですが、後に彼の病名は「閉じ込め症候群」と呼ばれる脳障害にかかっていたのです。

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「閉じ込め症候群」とは?

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「閉じ込め症候群」とは、脳幹へ繋がる太い血管が詰まることで、運動神経が破壊され、四肢が麻痺し声も出せなくなってしまいますが、その一方で、触覚・味覚・嗅覚などは健常者と変わらず、大脳は正常な状態という障害のこと。

唯一動かすことが出来るのは、眼球と瞼のみです。それらの神経は脳にあるため、動かすことが可能なのです。

なお、この病気は現在でも有効な治療方法が見つかっていません。

動かすことの出来ない体に、意識だけ閉じ込められたように感じることから「閉じ込め症候群」という名前がつけられたこの病気は、正しく「生き地獄」のような病気なのです。

この病気の判定方法は、眼球と瞼を使って行われます。医師が絵などを使って簡単な質問をし、Yesなら1回、Noなら2回まばたきをさせて意識の有無を確認します。

しかし、瞼や眼球は生理的動作として本人の意思に関係なく動いてしまうため、判定は困難とされています。

意識だけの彼に出来ることは数を数えることだけ

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意識を取り戻したマーティンは、徐々に思考能力を取り戻し、19歳になる頃には、完全に自分の置かれた状況を把握出来るようになっていました。

ですが、彼が意識を取り戻したことに気づく者は、誰一人としていなかったのです。食べ物は、ずっと流動食で、おむつをつけなければいけないという意識のある19歳の少年にとって、とても屈辱的な状況でした。

さらに、マーティンが簡易介護施設で生活しているあいだ、車椅子から落ちないように紐でキツく縛り付けられているのを訴えたくても、或いは、何時間も座りっぱなしでお尻が痛くても誰にも気づいてもらえなかったのです。

意識があるのに体を動かすことも、声を出すことも出来ないマーティンにとって出来ることはただ1つ。「時間の数を数えること」だけでした。

父親のロドニーが迎えに来る夕方の5時まで、ひたすら時計の秒針を眺めながら1秒ずつ数えていったのです。膨大な時間を潰す彼の唯一の方法でした。

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母から言い放たれた痛烈な一言

photo by ゴースト・ボーイ

しかし、マーティンにとっての地獄は、施設だけではなかったのです。家では、毎日、マーティンを巡って夫婦喧嘩が起こっていました。

マーティンのためにレントゲン技師の仕事を辞めた母ジョアンは、介護疲れによるストレスが限界に達し、自殺を図ってしまいます。

幸い、ジョアンは一命を取り留めましたが、同じことを繰り返さないためにマーティンの介護から一切手を引き、仕事に復帰。

マーティンの介護は、父のロドニーがすべて担っていました。昼間はロドニーも仕事があるため、マーティンを施設に預けざるをえませんでした。ロドニーは優秀な機械技師でしたが、キャリアを諦め、マーティンの介護のために夕方5時までの勤務にしたのです。

しかし、家では、妻・ジョアンがどうしていつまでマーティンに構わなくてはいけないのかと、マーティン本人の前で父・ロドニーと言い争うようになったのです。

ロドニーは、マーティンは我々の家族なんだといい、ジョアンは、意識のない子供に構うよりも、弟・デイビットや妹・キムにもっと手をかけたかったのです。そして、ある日の夫婦喧嘩の後、母ジョアンはマーティンに向かって

「あんたなんか死んでしまえばいいのよ!」と言い放ったのです。

マーティンは、著書である「ゴースト・ボーイ」でこのことについてこう語っています。

「言われたとおりにしたかった。 人生を終えたくて仕方がなかった。こんな言葉を聞くのに耐えられなかったから。

さらも彼は施設で虐待を受け続けていた

photo by NBC News

その後、父ロドニーは、マーティンを郊外の簡易介護施設に預けるようになります。その施設というのが「さらなる悪夢」の始まりだったのです。

一見、自然に囲まれ、安らげる環境のように見えたその施設でしたが、そこの介護士たちはマーティンを人形のように扱う最悪の施設だったのです。

その扱い方は、同じ人間とは思えないようなものでした。

介護士たちは、マーティンを車椅子に乱暴に乗せ、彼が車椅子から前のめりに倒れても何事も無かったかのように引き戻し、食事を無理に急がせたり、そのせいで吐き出し散らばった流動食をまたマーティンに無理矢理食べさせられたりしたのです。

彼はその時、本当に自殺をしたかったのです。でも、その自殺ですら彼はすることが出来ませんでした。

意識が戻って10年の歳月が流れ、マーティンの年齢も25歳になっていました。その頃、彼は絶望の中でただ生きているだけでした。

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ある介護士のコミュニケーションが彼を救う

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そんなある日、新しい介護士がマーティンの施設にやって来ます。アロママッサージを担当するヴァーナという女性でした。

マーティンは、また彼女からもいじめを受けると思っていたのですが、ヴァーナは違いました。彼女は、マーティンをマッサージしながら積極的に彼に話しかけたのです。

マーティンが意識を取り戻してから、初めて、彼に向けてちゃんと話しかけ、顔を見てくれる人だったのです。マーティンは、そのことを思考の中で大喜びし、家族にも出来ないか試してみますが、彼らは彼の顔すら見ようとしません。

そんな中、弟のデイヴィットが気管支炎にかかってしまいます。当然、弟のことが心配になったマーティン。そして、いつものように施設に行き、ヴァーナからアロママッサージを受けているときに、ふと彼女がマーティンに、

「今日は何だか元気がなさそうね。もしかして家族の誰かが病気だったりとかして?」という質問を投げかけたのです。

すると、マーティンは、その質問に瞼を動かして答えたのです。その反応を見ていたヴァーナは、次々と質問を投げかけます。

「家族の誰?お父さん?お母さん?弟?」「どんな病気?鼻風邪?中耳炎?扁桃腺?気管支炎?」

マーティンは、自分が答えたいところで瞼を閉じてヴァーナの質問に答えたのです。驚いた彼女は、すぐにマーティンの両親にそのことを伝えます。

そして、マーティンはとある大学の重度障害者用のコミュニケーションセンターへ連れて行かれ、医師から精密な検査を受けました。そして、医師は両親にこう告げたのです。

『マーティンは、私の言うことが理解できています。彼には意識があります。おそらく数年以上前から』

そのことを知らず13年間ものあいだ、彼とコミュニケーションを取ろうとしなかった両親は、自分たちの行いに落胆し、涙し、マーティンに何度も何度も謝りました。

そして、母ジョアンは再び仕事を辞め、マーティンの介護や小丹生にケーションの訓練、また硬直した体のリハビリに励みました。まるで過去の罪を償うかのように。

未来を見失わなかったマーティン

その後、ジョアンはマーティンのために、額に着けた赤外線発信器で画面に表示される文字を指し意思を伝えるという新しいデバイスを入手し、トレーニングを始めます。

当然、最初は思うように首が動かずもどかしいほど長い時間が必要だったのですが、それでも2年後にはその装置を使って会話が出来るまでになったのです。

さらに想像を絶するような痛みに耐えながらリハビリを続けました。すると、始めてから5年で両腕が動かせるようになり、またパソコン操作もすることが出来るようになったのです。

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それだけではありません。彼はパソコン操作をもっと学ぶために情報処理系の大学へ進学し、2009年には妹の同僚であったジョアンナさんと結婚!

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2010年、マーティンが34歳のときには、フリーランスのウェブデザイナー・開発者としての仕事をも得たのです!凄すぎる!!

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かつて、マーティンの母ジョアンが彼に対して言ったひどい言葉について、彼はこう答えています。

「私は母を愛していますし、いい関係を保っています。彼女を責める気はありません。母だけでなく、家族全員にとって難しい時期でした。母には、怒りではなく深い憐れみと愛情を感じます。」

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彼は、現在パソコンを使うことで会話をすることができますし、特殊改良された車によって運転も普通にすることが出来ます。

また、彼は車椅子レースの選手となり、そしてこれから、彼は父親になろうとしているのです!!こんな凄い話は聞いたことがない!

マーティンの動画とまとめ

 

人は、絶望の淵に立たされたとき、たいてい挫折し、膝をついて頭を垂れ、すべてを見失ってしまいがちです。彼自身も、そうなりそうでした。

しかし、ある一人の人が彼に意識の存在に気がつくことが出来たとき、再び奇跡への階段が彼の前に示されたのです。

マーティンは「コミュニケーション」が我々にとって何よりも重要だと訴えています。あなたは、ちゃんとまわりの人とコミュニケーションが取れていますか?

彼のお陰で私も、当たり前にコミュニケーションが取れるということを改めて考えさせられました。

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