2018年3月20日にイギリスで行われた叙勲式で、元ビートルズのドラマーだったリンゴ・スターさんにナイト爵位が与えられ「サー・リンゴ」になりましたね!
その後の記者会見で、リンゴ・スターさんがピースサインをしたのですが、個人的にちょっと違和感がありました。日本や他のアジア圏の国々と違って、欧米諸国ではあまりピースサインをする人を見かけないからです。
(↓記者会見時のリンゴ・スターさん。メダルは朝食の時にかける予定だそう!)
photo by BBC News Japan
今回はピースサインの由来から注意点までをわかりやすくまとめてみました。
由来
一般的に広く知られている説によると、二本指のVサインは、1415年の百年戦争中にフランスで起きた「アジンコートの戦い」での兵士がとった敵への挑発行動が起源ではないかと言われています。
その「イングランド軍」×「フランス軍」の戦いにおいて、イングランド軍の弓兵隊はロングボウと呼ばれる飛距離や貫通力に優れた長弓を用いており、フランス軍にとってそれが脅威となっていました。
なので、フランス軍がいったんイングランド兵を捕虜にとると、二度と弓が引けないように、人差し指と中指の二本の指を切り落とされていたと言われています。
しかし、イングランド兵はあえてその二本の指を戦いの際に振りかざすことで「まだおれの指はあるぞ!切り落とせるものなら切り落としてみろ」という挑発の意味合いがそのサインにはあったようです。
ちなみにこの戦いは、イングランド軍の圧勝で幕を閉じました。やはりロングボウの力は絶大だったようですね。
(↓弓を扱える女性って格好いいですよね!)
photo by Hans Splinter
しかし、この説の信頼性はそれほど高くないようです。
なぜなら、身代金などのために貴族などを捕虜にすることはあっても、身分の低い弓兵を捕虜にする可能性はきわめて低く、即決処刑されるのが普通だったからです。なので、わざわざ指を切り落とすという可能性は低いと言えるでしょう。
ピースサインの証拠として最古のものは、1901年にイングランドのロザラムにあるパークゲイト鉄工所の前で、撮影拒否のジェスチャーとしてピースサインをした労働者の姿となっているようです。
しかし、それも今あるピースサインの意味とは逆の意味で使用されているため最古と言えるかどうか、疑問が残りますねf^_^;)
反戦運動からの広まり
1960年代に、アメリカやイギリスなどをはじめとする西側諸国で、ベトナム戦争に対する反戦運動が高まり、各地で盛んに反戦デモが行われるようになりました。
デモ参加者たちは、報道陣のカメラに向けて平和を願う意思表示の手段として「ピースサイン」が広く用いられるようになっていきます。

そして、それと同時代に盛んだったヒッピー文化の中では「ピースマーク」も平和を願う印として広まっていきました。
とりわけ、その時代を象徴するイベント「ウッドストックフェスティバル」では、出演者の1人であるジミ・ヘンドリックスがアメリカ国歌をギターで演奏しながらピースサインを観客にアピールしていたそうです。
さらに、当時のアメリカ合衆国大統領であったリチャード・ニクソンは、ピースサインをベトナム戦争における勝利の印として採用し、彼のトレードマーク的ジェスチャーの1つとしていたようです。
photo by manhhai
彼は、1974年にウォーターゲート事件で辞任した際にもピースサインを使用したそうですが、反戦デモを行っていた人々のピースサインとはかなり違う意味合いを持っていたようですね(-_-;)
日本での流行時期
日本でもやはりベトナム戦争に対しての反戦デモが行われ、活動家たちはピースサインを用いていました。
その後の1971年頃、コニカミノルタのカメラCMで、歌手でコメディアンの井上順がアドリブでピースサインを使用し、話題になりました。
さらに、1972年の札幌冬季オリンピックに出場したアメリカ代表のフィギュアスケーター「ジャネット・リン」が、三位という結果に終わりながらも、明るい仕草で日本人のあいだで人気となりました
。彼女は平和活動家でもあったので、よくピースサインをカメラの前でやっていたそうです。
それらの影響から、徐々に日本にもピースサインという仕草が広まっていったみたいですね。

ピースサインの意味
日本人の多くは、ピースサインやVサインを単なる写真撮影時のポーズとして考えていると思いますが、欧米諸国では「勝利」「反戦」「平和」という意味としての考えが強いようですね
しかし、ギリシャではピースサインは相手を侮辱するサインになっているので注意が必要です!
どうやらかつてギリシャでは、犯罪者に対して二本指でものを投げていたそうで、ピースサインは「くたばれ」というメッセージになるようです。気をつけましょう!
さらに、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカ共和国では、手のひらを内側に向けたピースサイン、いわゆる「裏ピース」は侮辱を意味するので注意しなければなりません。
photo by Peter M.
ようするに中指を立てる「ファックサイン」と同等の意味があるということですね。
くれぐれも間違ってしないようにしましょう!