日本で『タトゥー』、すなわち『入れ墨』と言えば、893屋さんの代名詞であることからか悪いイメージの方が強いですね。みなさんもご存じのように日本の温泉施設では、大きな入れ墨を入れていると入浴することができないところもあります。
ところが、海外ではタトゥーがれっきとした『ファッション』として位置づけられています。私の知り合ったアメリカ人の何人かだけでも、体のどこかに小さなタトゥーを入れていました。
それらは、相手を威嚇するという意味ではなく、何かの記念や象徴だったり、自分の好きな動物や言葉などを体の目立たないところに小さく入れているだけでした。

しかし、人々のファッションへの飽くなき追求は、『眼球へのタトゥー』というものさえも生み出してしまいます。
今回は眼球タトゥーについてと、様々な形で身体改造することで個性を追求し続ける人々についてまとめてみました。
※初めに申し上げておきますが、今回はショッキングな写真をたくさん掲載しておりますので苦手な方は閲覧をお控えください。
thumbnail photo by David Dobrik
眼球タトゥーとは?
簡単に説明すると、白目の部分に色をつけることです。2007年頃からアメリカを中心に、ブラジルやヨーロッパの一部のタトゥーアーティストの間で流行し始めました。
眼球を正面から見たとき、茶色く見える部分が『虹彩』で、そこを覆っている透明な部分が『角膜』です。
その周りを取り囲んでいる『白目』の部分は、表面にぶよぶよとした透明な『結膜』があり、その奥に白くて硬い『強膜』があります。
結膜と強膜はゆるくくっついているだけで、その2層の間には隙間があります。この隙間の部分に、色付きの液体を流し込んだり、結膜や強膜の一部に色素を注射することを『眼球タトゥー』と呼ぶようです。
photo by GMA Public Affairs
眼球に色を付けるということ自体は新しい考えではなく、元々は怪我やトラコーマなどの感染症にかかったことで黒目(角膜)が白く濁り、見た目が悪くなった人のために角膜に墨を入れる『点墨(てんぼく)』として用いられてきました。
photo by GMA Public Affairs
それが、まさかファッションとして使われるようになるなんて・・・・・・時代は変わり続けるものですね。
肝心の施術方法なのですが、道具は、インクを入れ消毒された細い注射器が使われます。
インクは、天然の墨汁が一番安全だと言われているのですが、眼球タトゥーをする人の多くは黒色だけでは満足しません。多くの人は、目に安全かどうか分からないインクを生理食塩水で薄めて白目に注入していきます。
ネット上には、施術前にまばたきや眼球の移動を押さえるために麻酔をし、1日に片方の眼球に30回前後、注射針を刺してインクを注入し、それを2〜3日かけてゆっくり施術するという情報が多数あります。
photo by GMA Public Affairs
しかし、こちらの投稿してから間もなく、上に添付した写真のHarukiさんからご連絡を頂き、
「施術に両目で10〜15分しかかからず、眼球の上下左右に1度ずつ、計4回注射針を刺すだけで済んだよ。今のところ日本人でやったのは自分だけのようです。ピンクや黄色などの明るい色を入れる場合は、計5回注射針を刺す必要があるそうです。最初の2日間は目がパンパンに張れますが、目の治癒機能は早いので4日もすれば完治しちゃいますよ!」
とわざわざメールで教えて下さいました。Harukiさん、本当にありがとうございましたm(_ _)m
施術方法に関しては、実際に自分が行ったわけではないのではっきりしたことは分かりませんが、どちらにしても施術の怖さに変わりはありませんねf^_^;)
眼球タトゥーによる合併症の危険性もいくつかあるようなのでご紹介しておきます。
合併症の危険性
- 視力の低下
- 霧視(視界がぼやける)
- 眼圧があがる
- 頭痛のような激しい痛み
- 失明!
- 感染症による命の危険!!
・・・・・・臆病者の私には到底無理なファッションですf^_^;)
photo by Tattoo World
眼球タトゥーは、まだまだ新しい試みなので、長期的に目の中にインクがあるとどうなるのかは解明されていません。つまり安全性はほとんど補償されていないのです。施術された方々が後悔しないような結果になるといいのですが・・・・・・(-_-;)
当然のことながら、日本の美容外科クリニックでは、眼球タトゥーの施術を行っているところはないようですね。もし私もやってみたいという方がいらっしゃるのであれば、海外へ出向いて下さいね( ̄^ ̄)ゞ
眼球タトゥー失敗で苦しんだキャット
カナダに住むキャット・ガリンガー(Catt Gallinger)は、身体改造モデルとして活躍していました。
photo by Inside Edition
彼女はこれまで体中のあらゆる場所にタトゥーを入れ、施術で舌先を蛇のように2つに分けたスプリットタンなど、自分の体を自分の意思でデザインしていました。
そんな時、当時付き合っていた身体改造アーティストの彼氏が、キャットに眼球タトゥーをやってみないかと持ちかけます。
付き合ってまだ1ヶ月の彼氏でしたが、彼の作品をキャット自身も評価しており、彼が以前にも眼球タトゥーを施術したことがあると言ってきたことを鵜呑みにし、キャットはその申し出を受け入れてしまいます。
彼はキャットの眼球に麻酔をしたのち、ためらうことなく紫色のインクが入った注射針をキャットの眼球に刺し、インクを注入しました。
先ほども説明したとおり、注射針は消毒された細いものでなくてはならず、インクも生理食塩水で薄めてなくてはなりません。インクも結膜と強膜のあいだに入れなければなりません。
にもかかわらず、キャットの彼氏は、インクを薄めず、ろくに消毒していない太い注射針で、強膜の奥まで針を差し込み、眼球の上下、たった2回でインクを一気に注入したのです。
photo by Inside Edition
彼女の白目は紫色に染まりはしたものの、当然のことながらみるみる腫れだしました。キャットは彼氏に、「大丈夫なの?」と尋ねると、彼は「普通のことだから心配ないよ」と軽く答えたのです。
photo by Inside Edition
photo by Inside Edition
しかし、日を追うごとに視力は弱まり、痛みと腫れは増していきます。眼球タトゥーを施術してから間もなく、キャットの彼氏は突然、彼女に別れを申し出てきます。「おそらく自分の失敗を認めたくなかったんでしょう」とキャットは述懐しています。
その後、彼女は故郷の病院で治療を受け、自分のような被害者を出さないためにソーシャルメディアに自分の近況を報告したところ、批判が相次ぎ、彼女は心を病んでしまいました。体重も極端に減り、モデルの仕事も辞めざるを得ませんでした。
しかし、母親の助けもあり、現在、彼女の目は少しずつ回復しつつあるようで、モデルの仕事も少しずつですが再会し始めたようです。本当に良かった!
エイリアン姫と呼ばれたグレース
photo by i-D
イギリス在住のグレース・ニュートラル(29歳)も、身体改造アーティストの一人として活躍しています。
彼女もキャット同様、体の至る所にタトゥーを入れ、舌をスプリットタンにしています。さらに、おへそを手術で除去してつるつるのお腹にし、耳先を手術で妖精のようにとがらせ、耳たぶをそぎ落とし、鼻の両脇に大きな穴を開け、顔に模様のような傷を入れたのです。
photo by i-D
(おへそがなくなったグレースのつるつるのお腹↓)
photo by i-D
そんなグレースでさえも、眼球タトゥーは長いあいだ敬遠してきました。しかし、身体改造を追求するため、彼女は優秀な施術医を探し出し、遂に紫色の目を手に入れたのです。彼女はSNSで多くのフォローワーを持っており、その容姿から『エイリアン姫』と呼ばれるようになったのです。
現在、グレースはモデルとして活躍する傍ら、タトゥーの施術師としても人気なようです。
photo by i-D
グレースが、身体改造を始めたのは21歳の時。彼女は、幼少期から青春時代にかけて孤独のどん底にいました。
(身体改造の歴史をまとめたアルバムを記者に嬉しそうに見せるグレース↓)
photo by i-D
「誰もが私のようなルックスになりたいとは思わないだろうけど、自分の体を変えていくことが、唯一、自分の心を満たすことができるんです」
トトロなどのたくさんの人形に囲まれている彼女は、誇らしげにそう語っています。
photo by i-D
私自身は、このような美的感覚はまるでないので、一生タトゥーを入れることはないとは思いますが、それでもこうやって色々な方法を使って自分を表現しようとするということは大いに理解できます。
ただ、彼女たちが体をいじりすぎることで健康被害がないか、それだけが心配です。どのような形でもいいので、彼ら、彼女らなりの人生を駆け抜けていってもらいたいですね。