あなたは、自分にナイフを向けてきた相手と冷静に話し合うことができますか?さらにその後で、その相手を抱きしめることができますか?
そんな、勇気ある行動を実際にやってのけたタイの警察官がいたのです!
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ナイフを持った男に冷静に対応した警官
2017年6月17日、タイのフワイクワーン区の警察署に1人の男が入ってきて、そこにいた警察官、アニルト・マリーに向かって懐から抜き出したナイフを差し向けました。
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その男は、「私に近寄るな!さもないと自殺するぞ!」と叫んでいました。
普通なら署内は騒然とし、警察官は銃を抜き出して威嚇応戦しようとするでしょう。しかし、マリー警察官は思いもよらぬ行動に出ます。
マリーは、まず男に「やぁ、兄弟!何か私に手伝えることはあるかい?」と親身に話しかけ始めます。
男は、一番最初はマリーにナイフを渡そうとしたものの、まだマリーのことを信用していなかったため、渡そうとしたナイフをまた引っ込めてしまいます。
そしてマリーは、その男と一定の距離を保ったまま、おもむろに机の端に腰をかけました。
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攻撃する意志がないことを示したかったのと、男の目線と同じ高さにすることで、相手に与える威圧感を軽減したかったからでした。
そして、男は遂にマリーにナイフを手渡したのです。
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男は、両腕を広げで降参し、マリーも両腕を広げて、何も武器は持っていないことを男に示します。
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そしてマリーは、彼をしっかりと抱きしめてやったのです。
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男を椅子に座らせて話を聞いてみると、45歳になるこの男は、ずっとミュージシャンとして活動していました。
しかし、ミュージシャンでの収入では生活することが難しかったため、この事件前の3日間は警備の仕事に就いていました。しかし、雇い主は賃金を支払ってくれなかったのです。
さらにそのような状況に加えて、愛用のギターが盗まれてしまい、ストレスが極限に達していたのです。
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マリー警察官のコメント
マリー警察官は、この騒動後にこう語っています。
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「私は、彼が何らかの強いストレスを感じていたのが分かっていました。彼はただ助けが欲しかったのです。私が彼を抱きしめたとき、彼も私を抱きしめました。そして、私の胸で泣き始めたのです。
あの出来事の後で、彼に私のギターをプレゼントしました。それから、彼は警察署のみんなに歌を唄ってくれました。
私が思うに、ほとんどの警察官は人々のために役立とうと日々努力しています。ただ知られてないだけなのです。今回の私のような行動は、警察官にとって当然の行動なのです。
しかしながら、嬉しいこともありました。
私は、俳優のラッセル・クロウが大好きなのですが、彼がTwitterで私についてこうツイートしてくれたのです。
「警察官、アニルト・マリー。あなたは私の新しいヒーローだ」
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その後、マリーは、タイの警察庁から模範警察官として表彰されました。
騒動を起こした男は、最終的に病院に行ってストレスチェックを受けることになり、罰金等も課されませんでした。
もちろん警察官も人間ですから、罪を犯してしまう人もいくらかいます。しかし、多くの警察官はマリーのように正義感を持って、市民のために日々、危険に立ち向かってくれていることを私たちは忘れてはいけませんね。