アメリカで今、もっとも問題視されているのは『薬物問題』です。
それもちょっとやそっとの問題ではなく、非常に深刻な問題となっています。2017年度には、アメリカ全体で7万人もの人々が薬物の過剰摂取が原因で死亡しているのです。
今回は、アメリカで根深くはびこる薬物問題について、動画とともに話していきます( ̄^ ̄)ゞ
アメリカを脅かす薬物『フェンタニル』とは?
photo by BBC Three
今、アメリカで50代以下のもっとも大きな死亡原因は『薬物過剰摂取』とされています。
それを訊いて、私は本当に驚きました。車などの事故や銃関連の事件ではなく、薬物なのです。そこまでだとは・・・・・・まったく知りませんでした。
薬物と言っても様々なものがありますが、今、アメリカをもっとも脅かしている薬物は『フェンタニル(Fentanyl)』という麻酔・鎮痛薬です。
photo by BBC Three
フェンタニルは、『合成オピオイド』と呼ばれるもので、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドンなどが含まれています。
その強さは、モルヒネの100倍、ヘロインの50倍ととんでもなく強力。
フェンタニルは、静脈注射のほか、火であぶって煙を吸う方法や吸引具により吸引する方法、経口による方法などで乱用されています。
photo by BBC Three
フェンタニルには、ヘロインと同様に神経を抑制する作用があり、乱用すると強い陶酔感を覚えることから、このような快感が忘れられず、乱用を繰り返すようになり、強い精神的依存が形成されます。
さらに、強い身体的依存が形成され、2~3時間ごとに摂取しないと体中の筋肉に激痛が走り、骨がバラバラになって飛散するかと思うほどの痛み、悪寒、嘔吐、失神などの激しい禁断症状に苦しむこととなり、あまりの苦しさから精神に異常を来すこともあります。
また、大量に摂取すると、呼吸困難、昏睡の後、死に至ります。
安価で簡単に手に入れられるフェンタニル
photo by BBC Three
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とんでもないものです。
しかもこのフェンタニルは、安価で簡単に手に入れることができるというのです。
さらに、それらの薬物の中には純度が低く、アンフェタミンなどの精神向上薬をフェンタニルと混ぜたりした合成薬物が出回っており、より摂取した者を混沌に引きずり込んでいのだそう。
photo by BBC Three
アメリカの首都、ワシントンD.C.の近郊にあるボルティモアや、ペンシルベニア州マンチェスターなどでは、昼夜問わず、薬物に犯された人々が徘徊しています。
ボルティモアの薬物問題は、今に始まったことではなく、数十年前から根深くあるよう。
まるで生き地獄を見ているようです。
『オピオイド危機』を目の当たりに出来る映像
photo by BBC Three
『オピオイド危機』とも呼ばれているアメリカの薬物問題ですが、「BBC THREE」が製作した約1時間の映像で、その様子を目の当たりに出来ます。内容は、
・23歳、Anna Khachoの未来の見えない薬物依存の日々
・フロリダにある薬物依存リハビリセンター
・幼児を抱えながら薬物依存に落ちてしまったBrittney Wilce
・人生を無駄にしていることを判っていながらも薬物を摂取し続ける48歳、Alex
・薬物過剰摂取者を救助するペンシルベニア州の救助隊員
などなど
英語で1時間近くある映像ですが、見る価値はあると思います。↓
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本当にひどい有様です。
冒頭に登場するフェンタニル依存者のAnnaは、皮膚が腐ったようにただれ、爪は黒ずみ、眼の周りは真っ黒になっていました。見ているだけで泣けてきます。
photo by BBC Three
薬物をやめようにも数時間ごとに身体に激痛が走るため、続けざるを得ない。仕事も出来ない。金が無ければ、身体を売るか、盗むかするしかない。その先には、人の命を殺めることもあるかもしれない。
自分が落ちていることは分かっていても、そこから這い上がることが出来ない。
まるで流砂だ。
もがけばもがくほど、深く砂に引き込まれていく。
それはフェンタニルだけでなく、どのような薬物も一緒だ。
なぜ、アメリカ政府はこれらの薬物の蔓延を取り締まることができないのだろう?何か闇の支配があることは間違いない。