私たちが何気に購入し、使っている革製品。しかし、その革製品の革の加工がどこでどのように行われているかなんて考えたことがない方が多いのではないでしょうか?
バングラデシュの皮革産業は年間10億円の利益を出す巨大産業で、加工された製品は欧米各国へ輸出されていきます。
しかし、その労働環境は劣悪極まりないもので、さらに工場から出る毒の排水はそのまま川へと垂れ流され続けているというのです。
今回はVICE Japanの動画と共に、バングラデシュの皮革産業の現状について話していきます。
毒を垂れ流すバングラデシュの皮革産業
photo by VICE Japan
バングラデシュと言えば、左はインド、右はミャンマーに挟まれた国で、日本よりも土地面積が小さいにもかかわらず、人口は約1億5000万人と日本よりも多い。
洪水や自然災害も多く、貧困国の1つとして有名だ。
住民の6割が農業に従事し、労働コストの安さから繊維工業もバングラデシュの一大産業となっている。ユニクロ製品は、少し前からバングラデシュ産が増えましたよね。
VICE Japanの取材が行われたのは、バングラデシュの首都ダッカ近郊の街、ハザリバーグ。
photo by VICE Japan
そんなバングラデシュで大きな問題となっているのが、革加工をする『皮革産業』だ。
何が問題かというと、工場から排出される毒の排水がそのまま川へ垂れ流され続けており、工場の労働者はおろか住民の生活環境をも脅かしているということだ。
川を汚すということは、それは人間へ直接悪影響を及ぼすことになる。
人々は川から魚やエビを捕り、それを食す。魚を捕まえた少年は、魚がディーゼル臭いとまで言っていた。そんなディーゼル臭い魚を市場へ送り、多くの家庭の食卓に並ぶ。
photo by VICE Japan
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なんということだ。
女性たちは、汚染された水に浸かってビニール袋を拾い集め、それを再利用施設へ売る。当然のことながら皮膚病に冒され、毛穴から侵入した汚染物質は、体内の見えない部分も汚染していることだろう。
photo by VICE Japan
そして、その問題の皮革加工工場では、従業員たちは素手・素足で猛毒の薬液に浸かった皮を扱い続けている。
記者が従業員に、「薬品は怖くはないですか?」という質問をすると
「怖くても働かなきゃ生きていけない」
と話す。
photo by VICE Japan
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なんて現状だ。
そしてあろうことか、その毒の排水は直接道路へ垂れ流され、それはそのまま川へと流れていくのである。
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本当に信じられない。
バングラデシュの9割の人々が50歳を満たさずに亡くなっているという。間違いなくこのような劣悪な環境がそのような短命の影響もたらしている。
動画はこちら。↓
日本人は、本当に恵まれた国だと思わざるを得ない。
これを見たから、革製品を買うのをやめよう!というのはバングラデシュの人々の解決策にはならないだろう。
ではどうすればいいのか?私の陳腐な頭では考えがつきませんが、このことを伝えることはできます。
多くの人々がこのことを知り、どうすればいいのかを考えることで見えてくるものがあるかもしれない。
いつの日か、バングラデシュの人々のこの現状が改善されることを祈って。