太古の昔から私たちの海に生息する「ウミガメ」。
しかし、そのウミガメが絶滅寸前、もしくは絶滅の危機に瀕していることはご存じでしょうか?その原因を作ってしまったのは、紛れもなく私たち人間です。
それを受けて、インドのとあるゴミだらけビーチを、住民が約2年半の歳月を費やして1万2000トンものゴミを拾い綺麗にした結果、20年ぶりにウミガメが戻ってきたのです!
綺麗にする前とあとでは、まったく別のビーチのようです!
thumbnail photo by Erik Solheim
絶滅の危機にさらされ続けているウミガメ
photo by Bureau of Land Management
約1億年以上も前から海洋で進化を続け、生存してきた「ウミガメ」ですが、実は絶滅の危機に瀕しているのです。
7種あるウミガメのうち、6種類が絶滅寸前、もしくは絶滅の危険があるとされています。
photo by Keenan Adams
その原因のほとんどは、我々人類にあります。
漁網に絡まって身動きが取れず死んでしまったり、波よけのテトラポッドが障害になって産卵場へ行けなかったりします。
漁師を長年やっていた私ですが、漁網に絡まるウミガメを見て、とても複雑な心境になります。
photo by Jordi Chias
さらに、産卵場にたどり着いたとしても、浜辺を走行した大型4WD車によって浜地が押し固められて砂を掘れなかったりと、人間がウミガメの繁殖を減退させてしまっているのです。
それを受けて、日本の全国各地で子ウミガメの放流会をやっているのですが、「日本ウミガメ協議会」では、放流会を止めるように注意喚起をしています。
photo by Papahānaumokuākea Marine National Monument
その理由は、放流会の多くが日にちを決めてからまとめて放流するため、弱った状態の子ウミガメを放流することになり、鳥などの餌食になりやすく、それを逃れても他の天敵によってやられてしまうからです。
他にも本来は夜間に孵化して海へ逃げる子ウミガメですが、放流会の多くは昼間に行うため天敵に見つかりやすいなど、いくつかの理由があります。
photo by Afroz Shah
小笠原諸島や沖縄県などの一部の地域では、現在でもウミガメを使った郷土料理があるのですが、その漁獲量は上限が定められており、食用のためのウミガメ養殖も試みられているようです。
見違えるほど綺麗になったバーソバ・ビーチ
photo by Erik Solheim
インド・ムンバイ市にあるバーソバ・ビーチは、その昔ウミガメの産卵場として多くのウミガメが集まっていました。
(※下の画像はややショッキングとなっておりますのでご注意下さい。)

しかし、ゴミをそこら中に捨てていた住民たちのせいで、浜辺はゴミで埋め尽くされてしまったのです。砂浜は汚染され、プラスチックゴミが辺り一帯を覆い尽くしていました。
(※下の画像はややショッキングとなっておりますのでご注意下さい。)

その状況を打開するため、国際連合(UN)は、「世界最大のビーチクリーンアッププロジェクト」を開始。
photo by Afroz Shah
photo by Erik Solheim
その陣頭指揮に当たったのは、弁護士で環境学者のアフロズ・シャー氏(Afroz Shah)で、チームはのべ「127週間」の間に「1万2000トン」ものプラスチックゴミ、粗大ゴミを拾ったというのです!
photo by Afroz Shah
photo by Afroz Shah
その結果、浜辺は見違えるように綺麗になり、汚染されていた砂地も徐々にその美しさを取り戻しつつあります。
photo by Afroz Shah
photo by Afroz Shah
そして、バーソバ・ビーチにはふたたびウミガメが産卵に訪れるようになったのです!
photo by Afroz shah
photo by boredpanda
photo by Afroz Shah
photo by Afroz Shah
「彼らが産卵を終えて、海に向かって帰っていくのを見て、私は涙が溢れました」
とシャー氏はガーディアン紙にコメントしています。
世界中のさまざまな場所にある299のウミガメの産卵場を調査したところ、ウミガメの産卵数が大幅に増加しています!
しかし、まだまだ楽観視はできません。
シャー氏たちの積極的な取り組みにもかかわらず、先週、メキシコの海岸で300匹ものウミガメが死んでいるのが見つかりました。漁網に絡まって溺れてしまったとみられています。
(※下の画像はややショッキングとなっておりますのでご注意下さい。)

依然として、ウミガメは絶滅の危機にさらされたままです。古代から生きるこの無害で温厚な美しい生物を守る方法を、私たちはこれからも考え続けなくてはなりません。
Reference : Treehugger | boredpanda