ワラウクルミ

素手で殴り合う地下格闘技「ベアナックル・ボクシング」とは?

地下格闘技「ベアナックル・ボクシング」とは?

グラブを身につけた人間同士が殴り合う競技「ボクシング」は、世間一般でお馴染みの競技ですが、グラブを身につけず素手で殴り合う競技「ベアナックル」はあまり知られていないでしょう。

イギリスでは、何世紀にも渡ってこのベアナックルが行われてきましたが、現在はその野蛮さから地下格闘技として影へ追いやられてしまっています。

今回は、ベアナックルに人生を狂わされ、それでも情熱を傾け続ける人々について話していきます。

thumbnail photo by VICE

ベアナックル・ボクシングとは?

改めてベアナックル・ボクシングとは、ボクシングの原型であり、2人の人間がボクシンググローブを拳に装着せずに殴り合うという格闘技です。

photo by VICE

最低限のルールとして倒れた相手を殴ってはいけないことや、急所(目、股間)への故意的な攻撃は禁止されています。

イギリスの伝統的なリングは、干し草を積み上げ、それを四角に囲ったものです。倒れる選手を干し草がクッション代わりになってくれるのでしょう。

もともとボクシングそのものは、グローブなどを身につけず素手で行っていたようですが、1910〜1920年頃からグローブを身につけ始め、それを境に以前の素手のスタイルをベアナックルと呼ぶようになったのです。

photo by VICE

イギリスのベアナックルを支える興業団体「B-BADプロモーション」の設立者であるアンディ・トップリフは、ベアナックルの起源はイングランドにあると言います。

photo by VICE

18世紀にはイギリスの国民的スポーツになり、大試合の結果は王族も知りたがるほどだったそうです。

しかしながら、「素手での殴り合い」という意味では、もっと古い時代から他の国でもあったでしょうね。そんな中、格闘技として、またスポーツとして最初にベアナックルが人気になったのはイギリスだったということです。

自分の暴力性のはけ口として

現在のベアナックル・ボクシングの多くの競技者が、暗い過去を持っています。

治安の悪い地域で育っていたり、毎日喧嘩に明け暮れ、犯罪集団との関わりのあった人たちなどです。

アンディの団体では、現在でも犯罪に関係を持っている人間は競技に出場させないようにしています。彼は、ベアナックルをまっとうな競技として復活させたいのです。

競技には、年齢も体格も関係ありません。

ビデオの中で46歳で事務弁護士のジョーンズと、20歳も年下のゴーガンとの試合があります。ちょっとした反則はあったものの結果は、なんとドロー。

photo by VICE

事務弁護士のジョーンズは、若い頃、悪い仲間とつるみ、喧嘩に明け暮れていましたが、ある日、麻薬を密輸したかどで刑務所に入ることになってしまいました。

photo by VICE

それでやっと、彼は目が覚めたのです。まともな生活に戻るため、学校へ戻り法律を学び今の仕事を手に入れることが出来ました。しかし、戦うことが「純粋に好きで好きでたまらない」彼は、再び競技として戦うことを始めたのです。

ジョーンズの左手人差し指の欠損が、印象的でした。まるでそれは、彼の過去への戒めであるかのようです。

photo by VICE

自らの暴力性と捨て去ろうとする者

そんな中、ベアナックルなどの暴力的な世界から手を引き、ライフスタイルの講師として活動をしているジェームス・ランバートがいます。

photo by VICE

口調穏やかで、「Mr.Happy」と呼ばれるようになった彼は、以前は無敗を誇る生粋のファイターでした。しかし、彼曰く、競技からはたとえ勝ったとしても幸福感を得られることは一度もなかったそうです。

photo by VICE

ジェームスは、競技を去って2年になり、過去の暴力性を思い出させるものはほとんど捨てたそうですが、サンドバッグだけは倉庫に残されていました。

いくら口調や話し方を変え、暴力性を自分から追い払おうとしても、そのサンドバッグの前に立ったジェームスは、紛れもなくファイターにしか見えませんでした。彼自身も、自分に染みついたその爆発的暴力性をよく理解しています。

photo by VICE

彼は今、人生最大の戦いに挑んでいます。

ベアナックルから逃れられない者

そして、2017年。競技が始まった1863年以来で初めて、イギリスとアメリカのベアナックルチャンピオンが大西洋王座を巡って対決。

今回、イギリス代表として出場するジェームズ・マクローリー。10歳からベアナックルを始め、今ではみなが彼のことを「生きる伝説」と呼ぶほどの選手です。

photo by VICE

しかし、その一方でジェームズは、祖国であるアイルランド、そして家族を愛する心優しい男なのです。長年付き合っている恋人リアンとの結婚を願っています。

リアンもジェームズのことを愛しているのですが、やはり競技終えて毎回血だらけになって帰ってくる彼が心配でたまらないそうです。リアンの気持ちが痛いほどよく分かりますね。

photo by VICE

パンチドランカーとなり記憶さえも失い続けているジェームズ。

しかし、彼は戦いを求め続けます。彼の早くに失った父親や愛する家族への思いが、逆に彼を暴力的な世界へと導いていきます。彼の信念の強さは紛れもなく賞賛に値しますが、果たしてそこに幸せはあるのでしょうか?

photo by VICE

「人それぞれ」ということなのかもしれませんね。

そして、大西洋王座決定戦で勝利したのは・・・・・・結果は下の動画をご覧下さい!

動画とまとめ

自らの爆発しそうな暴力性を発散する場所として、「ベアナックル・ボクシング」は存続し続けていますが、どこか人生への虚しさ、やり場のなさを「素手での殴り合い」によって見いだそうとしている感じがします。

それは、そういうものを持たない側の私たちを少し悲しい気持ちにさせます。そんな風にしてしか喜びというものを見いだせないのかと。

制御できない自分自身を、ベアナックル・ボクシングとしてぶつけている。強さの中に、紛れもない弱さが垣間見えたベアナックルの世界でした。

                              

    この記事のいいね!やシェアはこちら☆

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ワラウクルミの記事が気に入ったら
いいね!してね☆↓最新記事が届くよ◎

Twitter で

RELATED ARTICLE

人生初のハンググライディングでまさかの命綱のつけ忘れ!腕力だけで2分間も空に

人生初のハンググライディングでまさかの命綱のつけ忘れ!腕力だけで2分間も空に

娘の成長をそばで見続けるために一緒に体操の練習をする父親

娘の成長をそばで見続けるために一緒に体操の練習をする父親!全国のお父さん必見!

あなたが知るべき『ホロコースト』についてのわかりやすいまとめ

ペルーでエイリアン発見か?

3本指の手足をもつエイリアンのようなミイラがペルーで発見される!

韓国と北朝鮮の代表

日本はこれから朝鮮半島とどう向き合うべきか?賠償金・謝罪の義務は?

マラソン世界記録ペースのランニングマシーンで一般人が走ると転倒する人が続出!

マラソン世界記録ペースのランニングマシーンで一般人が走ると転倒する人が続出!

peace-sign

あなたの知らないピースサインの由来と注意点をご紹介します!

韓国『セウォル号沈没事故』のわかりやすい経緯と事故原因について

巨大なガリバー像が横たわる『富士ガリバー王国』跡地の廃墟度がハンパない!

巨大なガリバー像が横たわる『富士ガリバー王国』跡地の廃墟度がハンパない!

眼窩にフックを引っかけて車を引っ張る男のチャレンジ

眼窩にフックを引っかけて車を引っ張る男のチャレンジが何とも奇妙だ(=_=)

日本三大廃墟『八丈オリエンタルリゾート』の写真28選。光と影のあるところ

日本三大廃墟『八丈オリエンタルリゾート』の写真28選。光と影のあるところ

スラブ文化をイメージした衣装と写真

スラブ文化をイメージした衣装とその写真の美しさに思わず魅入ってしまうぞ!

ノルウェーの腹打ち飛び込み世界大会

ノルウェーで毎年開催される「腹打ち飛び込み世界大会」がクレイジー過ぎ!

lawn

アメリカ人は芝生を愛して止まない!その理由と歴史をご紹介

american-flag

いつから日本は国旗を各家庭で掲げなくなったの?その理由は……

ocean

もう一度見直したい『東日本大震災』を忘れないためのまとめ

52歳のハル・ベリーが25歳のような若さを維持することが出来る秘訣!

2 top

南北首脳会談で見せた北朝鮮の急転換とこれまでの朝鮮半島の歴史