日本では法律で火葬が義務づけられていますが、ベトナムでは一部地域で古くから伝わる弔いの儀式『洗骨葬』が未だに行われているところもあるのだそう。
洗骨葬とは、遺体を土葬して約3年後に掘り起こし、骨についた溶けた肉などの汚れを水で洗い流し、綺麗にした遺骨だけを箱に詰め、埋葬し直すという儀式。
今回はBBCニュースの動画と共に、洗骨葬について紹介していきます。
※この記事内・動画内には、やや過激な表現や画像・シーンが含まれていますので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。
ベトナムで未だ行われる『洗骨葬』とは?
photo by BBC News Japan
ベトナムの宗教は、約8割が大乗仏教で、残りはキリスト教やイスラム教などが占めています。
以前はほとんどの埋葬方法が『土葬』だったようですが、最近では都市部を中心に『火葬』を選択する人が増えてきたようです。
しかし、地方の一部地域では未だに『土葬』の風習が根強く残っているのだそう。
そこのベトナム人たちは、「肉は汚れたもの」と考えられており、土葬して2〜3年後に遺体を掘り起こし、骨を水で清め、再度小さな棺桶に詰め直して埋葬するという『洗骨葬』を未だに行っているという。
儀式が行われるのは太陽暦の正月前。
死者の魂があの世に行くための最後の弔いであり、その地域の人々は洗骨葬を終えることでやっと喪が明けると考えているそうです。
しかし、その儀式の様子はどうみても簡単なものではない。
photo by BBC News Japan
腐敗した黒い肉のドロドロの中から骨を取りだし、水ですすぐ。臭いはきっと想像を絶するものだろう。いくら身内と言えども、さすがにこれは肉体的にも精神的にもキツすぎる。
それに、死者としても落ち着いた頃にまた地上にさらけ出されるというのは、あまり落ち着かないのではないだろうか?
もちろん他国の風習を否定するつもりは毛頭ない。ただ、遺族に負担になっていないか、それだけは気がかりだ。たとえそれが大変なことでも「生きている者の役目」ということなのだろうか?
ちなみに、沖縄や奄美群島の方でも昔は洗骨葬が行われていたそうですが、今ではすべて火葬となっているようです。
BBCの動画はこちら。↓
・・・・・・
「2年で埋葬し直そうとすると、肉がまだ残っていることがある」って、恐怖以外のなにものでもないですね(-_-;)
もちろん、それが自分が生まれ育った地域の風習で、両親への弔いだとしたら私も当然のように洗骨葬を行うでしょう。しかし、それが大きな試練になることは言うまでもありません。
それに、衛生面でも非常に心配です。死者を弔ったはいいものの、自分も死者の仲間入りしては本末転倒ですから。
伝統的な風習を守ることと、近代的風習への道に歩み出すこと。こういうときの選択はいつでも難しい。